一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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マメ類の発芽時の代謝

質問者:   教員   H.S
登録番号1125   登録日:2006-12-09
はじめまして、高校の生物の教師をしています。
発芽時の代謝については、教科書ではムギ種子などで、吸水からジベレリンの生成、これによるアミラーゼのデンプンの分解などの説明があり、植物生理学の一般書にも詳しく説明があります。
一方、それ以外の種子では同様なのか、また別のしくみがあるのかよく分かりませんでした。
特に現在、エンドウマメを使って、発芽時の代謝を理解させるような教材が作れないかを試しているのですが、基本となるしくみが分かりません。アミラーゼの生成のしくみがどうなっているのか、また胚軸の存在がどのように影響しているかなど、お教えいただきたいと思いました。
よろしくお願いします。
H.Sさま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡と申します。双子葉植物でも発芽時における貯蔵物質の分解についての研究はなされているのですが、その制御機構が単子葉植物の場合のように単純でないので、教科書などで扱われ難いのではないかと思います。双子葉植物でも胚を除去すると子葉での加水分解酵素、特にタンパク質分解酵素、の活性上昇が抑えられます。また、発芽の初期には、子葉でのタンパク質量の低下と、胚でのタンパク質量の増加とが平行して起きているので、発芽初期の胚でのタンパク質合成は、子葉でのタンパク質分解に支えられているものと考えられます。単子葉植物の場合同様、胚から子葉へ何かホルモンが送られ、子葉でのタンパク質分解酵素の合成が始まると考えられますが、双子葉植物の場合、その役割を果たしているホルモンはサイトカイニンであったり、オーキシンであったり、ジベレリンであったりとまちまちです。胚を取り除いた子葉にいろいろなホルモンを与えて、子葉でのタンパク質の分解を調べられて見てはいかがでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-12-18
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