一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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糖とでんぷん

質問者:   高校生   相原 由梨
登録番号1146   登録日:2007-01-06
トウモロコシの甘みを保つためにはどうしたらいいですか?根拠と一緒に教えてください。
相原 由梨 様

本コーナーに質問をありがとうございました。

トウモロコシには、”スイートコーン”などと呼ばれる甘い品種(突然変異種)が多数作られており、市場に出回っているようですね。トウモロコシは光合成活性の高い植物で、緑葉で行なわれる光合成の産物は種子(胚乳)に送り込まれ、最終的にはデンプン(コーンスターチ)などの形で蓄積されます。夜間には、光合成産物がショ糖(あるいは、果糖)の形で蓄積されることがありますが、これらは酵素(デンプン合成酵素)のはたらきでデンプンへと変換されます。

ところで、私たちが食用にするのはトウモロコシの未熟の種子で、その甘みは上述のショ糖や果糖によるものです。一般に、トウモロコシは早朝に収穫すると甘く、この甘みは採取後急速に失われて行くことが良く知られています(但し、甘みが失われて行く速度は、品種によって異なるようです)。収穫後のトウモロコシはまだ高い生理活性を保っているため、糖からデンプンへの変換の反応も急激に進行します。したがって、トウモロコシの甘みを保つ簡単な方法は、デンプン合成の酵素の働きを弱めるために低温に保つことです。一般には、早朝に収穫して、5℃程度の温度で数時間予冷することがよく行なわれていると聞いております。収穫後、急速に凍結するのも、酵素の働きを止めて甘さを保つのに良い方法となるでしょう。但し、この場合には、凍結の仕方と解凍の仕方が問題になります。また、収穫後直ぐに煮て、酵素を変性させた後、低温で保存するのも一つの方法だと思います。

トウモロコシの甘みの保存のためには多くの工夫がされております。別の方法でも調べてみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-01-15
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