一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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クリの芯

質問者:   会社員   yota
登録番号1162   登録日:2007-01-23
クリの芯はものすごく硬くて、枯れてぼろぼろになったクリの木でも芯だけが残っているのをよく見かけます。ただ単に硬いから腐りにくいのですか。それとも菌をよせつけない特別な仕組みがあるのですか。そもそもなぜ芯が硬くなるのでしょうか。教えてください。
yotaさま

 みんなの広場へのご質問有難うございました。頂いたご質問の回答を、まずカナダの森林研究所の私の高校時代からの友人に依頼しました。その友人は回答を鳥取の日本きのこセンター・菌蕈研究所の寺島 和寿さんに依頼し、寺島さんは、恩師である北大の寺澤、三浦両先生に依頼して下さいました。以下は、寺島さんを通してお寄せ下さった、寺澤、三浦両先生からのものです。お役にたつものと思います。

寺澤 實 教授(北大・農・森林化学) より頂いた回答

心材が堅く残っているのは、心材に抗菌成分が存在するからで、木材腐朽菌が進入しづずらかったと言うことでしょう。辺材は、腐朽菌によって分解されたために柔らかくなったのであって、元々は堅かったはずです。健全な状態では、心材が辺材に比べて特に堅いわけではないと思います。心材は未成熟材部を含みますので、むしろ、本当に硬度を比較すると、ひょっとして辺材よりも低いかも分かりません。お問い合わせの現象は、辺材が木材腐朽菌にたいして無防備であったために、腐朽された結果、柔らかくなったと、お考え下さい。参考図書は、木材化学・共立出版などをご参照下さい。


三浦 清 元教授(北大・農・森林資源生物)より頂いた回答

フェノールなどの抗菌性成分が重合してポリフェノール成分となり、心材に沈着して抗菌性を有し、また硬くなったものと考えられる。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-01-30
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