一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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大王松の繁殖方法について教えてください。種子をまいたのですが、発芽率が大変悪く、1000個ほどのうち5本ほどです。播種前の処理が何か必要でしょうか?

質問者:   教員   西本 裕
登録番号1163   登録日:2007-01-23
校舎の改築に伴い60年程の大王松を伐採しなければならなくなりました。
昨年秋に松ぼっくりから種子を取り上記のようにバーミキュライトに播種をしましたが、発芽率が大変悪くお尋ねした次第です。
別に、同じバーミキュライトに先端の新梢を挿し木してありますが果たして付くのやら?生徒がこの樹木を大変好んでおりますので是非命のリレーをしたいと思い質問しました。よろしくお願いいたします。
西本 裕 様

60年も育っている大王松を伐採しなければならないというのは残念ですね。移植できないものでしょうか。雑木ならまだしも生徒さんに好かれている樹木を安易に切るというのはどういうものですかね。
大王松の種子は発芽のために光あるいは低温処理を必要とします。発芽させる温度は21℃が最適温と報告されています。次のような方法で試してみて下さい。種子を吸水させ、湿ったろ紙とかペーパータオルの上において5℃〜10℃位(例えば冷蔵庫の中など)で乾燥しないようにふたをして、30〜60日放置します。そのあと、バーミキュライトなどの播種土に播いて21C前後に置きます。その時、土の中に埋めるより、土の表面にまいて、種子が光に当るようにして下さい。種子の発芽能力は保存の状態や完熟度によっても異なりますから、非常に沢山発芽するかどうかは分かりませんが、多分ある程度の種子発芽は見られるのではないかと思います。
松の挿し木は通常はむつかしいとされています。そのため、挿し木で発根しやすい品種が栽培されたりしています。大王松がどうであるかはわかりませんが、新梢をたくさん挿木すれば何本かは発根するかもしれません。挿し木の時期は春が良いようです。
成功を祈ります。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-01-30