一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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原形質連絡糸

質問者:   大学生   アユコ
登録番号1168   登録日:2007-01-25
シンプラストについて復習をする途中、原形質連絡についても調べました。調べていると、原形質連絡糸という単語を見つけたのですが、伴細胞と師管の間にあるらしい、シンプラストでは重要らしい、ということしか調べられませんでした。
原形質連絡糸の役割と構造について、教えてください。
よろしくお願いします。
アユコさま

みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を原形質連絡のご研究をなさっておられる東京大学の渡辺雄一郎先生にお願いしておりましたが、先生から以下のような回答が寄せられました。ご参考にして下さい。原形質連絡糸というのは原形質連絡のことのようですね。

原形質連絡と呼ぶことも多いです。(plasmodesmata;プラズモデスマータ)電子顕微鏡観察によって、伴細胞と師管の間だけでなく、多くの隣り合った植物細胞間にこの構造があることがわかっています。
直径約50-60 nmほどの構造で、隣り合った細胞間を突き抜けるように存在します。細胞当たり、数千から数万ほどあるとされています。この構造は完全な孔ではありません。分子量800以下のような代謝産物などは自由に流通できますが、タンパク質などは移動できないとされています。
隣り合った細胞は基本的に閉じた膜で連続していないわけですが、この原形質連絡があるおかげ、そしてそこを低分子物質が流通できることでシンプラストが成立しています。お尋ねの伴細胞と師管の間にも、当然原形質連絡が存在しています。
孔のような構造なのに、この構造の中を双方の細胞由来の小胞体膜が貫通しており、完全な自由空間ではないのです。自由に分子が流通できず、高分子はむしろ選択的になぜ移動するのかについては、まだわからない点が多いのが現状です。

渡辺 雄一郎(東京大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-02-05
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