質問者:
大学生
シンドー
登録番号1172
登録日:2007-01-27
細胞壁の主成分はセルロースとのことですが、一度セルロースとして細胞壁に組み込まれた光合成産物は、光合成産物の細胞壁(セルロース)への使用とそのターンオーバーについて
① 基本的にターンオーバーはしないでそのままなのでしょうか?
それとも、
② 分解や再合成を繰り返して、例えば1ヶ月間などの期間で全ての細胞壁セルロースが入れ替わってしまうのでしょうか?
成熟葉での光合成産物の使い道に興味があるのですが、①の場合、成熟葉で獲得された光合成産物はそのまま葉に蓄えられたり、呼吸で消費したり、ショ糖として他の器官に転流することと思います。
②の場合、成熟葉でも新たに獲得された光合成産物はターンオーバーの程度によって貯蔵や輸送のほかに細胞壁セルロースに組み込まれたり、枯れていく葉からセルロースが分解・回収されるようなこともあるのでしょうか?
よろしくお願いします。
シンドー さん
シェーンハイマーが提起した代謝の動的平衡の言う観点からすると、セルロースと言えども代謝回転しているのではないかと考えるのは自然だと思います。しかし、私たちの理解では、セルロースは極度に安定な光合成の最終産物で、代謝回転(ターンオーバー)をしないでそのままでいると言うのが正しいように見えます。もっとも、自然界にはセルロースをグルコースに分解する酵素(セルラーゼ)をもつ生物が多数存在していて、これが生物圏全体のバランスの維持に重要な役割を果たしていることもよく知られています。同じグルコースの重合体であるにもかかわらず、デンプンとセルロースの間にその安定性に極端に大きな差があることは ”化学の秘密”に属する問題ですので、書物に書かれていることではなく、自分が納得できる事実だけに依拠して、その理解に挑んでみてください。科学はそこから始まります。どのような実験をすれば問題にしていることが解明されるかと考えみてください。
シェーンハイマーが提起した代謝の動的平衡の言う観点からすると、セルロースと言えども代謝回転しているのではないかと考えるのは自然だと思います。しかし、私たちの理解では、セルロースは極度に安定な光合成の最終産物で、代謝回転(ターンオーバー)をしないでそのままでいると言うのが正しいように見えます。もっとも、自然界にはセルロースをグルコースに分解する酵素(セルラーゼ)をもつ生物が多数存在していて、これが生物圏全体のバランスの維持に重要な役割を果たしていることもよく知られています。同じグルコースの重合体であるにもかかわらず、デンプンとセルロースの間にその安定性に極端に大きな差があることは ”化学の秘密”に属する問題ですので、書物に書かれていることではなく、自分が納得できる事実だけに依拠して、その理解に挑んでみてください。科学はそこから始まります。どのような実験をすれば問題にしていることが解明されるかと考えみてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-01-30
佐藤 公行
回答日:2007-01-30