一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

光合成能力

質問者:   会社員   桃太郎
登録番号1180   登録日:2007-02-03
同じ作物において葉の大小で光合成量は変わるのでしょうか?私は葉の細胞の数は決まっていて細胞の大小で葉の大きさが決まると理解していましたが最近、葉の大小にかかわらず光合成能力が同じであれば、葉の小さいほうが効率よく循環でき、大きければ逆に鈍化することになると思う様になりました。教えてください。
桃太郎さま

ご質問をありがとうございます。
ご存知のように、葉の形態は植物種(品種)を特徴付ける形質の一つで、展開を終えた葉はほぼ一定の大きさになるのが普通です。ただし、光・水分・二酸化炭素・栄養素(肥料)などの供給や植物体における位置などによって葉の大きさがある程度変化することも事実です。葉の大きさは細胞の数で決まると考えられていますが、最近の研究によると、細胞の数が減少した場合には細胞の大きさを調節することにより葉の大きさを一定に保とうとする仕組みも植物には備わっているようです。

葉は光合成の現場ですので、葉の大きさ(葉の面積や厚さ)で光合成の能力(結果としての光合成量)が決まることが期待されます。しかし、この考えを違った植物種の間に適用することは出来ないと思います。作物として考えた場合には、光合成の産物を根(塊茎や塊根など)や果実などへの蓄積物として利用するか、葉そのものとして利用するかによって事情は違ってくるかも知れませんが、葉の大小によって生ずる循環効率の違いが光合成量を規定する場合は少ないのではないかと思います。栽培方法を変えることで葉の大きさを変えようとしておられるのですか、それとも異なる品種を利用されるのですか。

以上、概略的な答えになりましたが、更に詳しいことをお知りになりたい場合には改めて質問をお寄せください。なお、植物の葉の形成に影響する要因に関しては、本コーナーの登録番号1165で扱われていますので、ご参考にしてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-02-09
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内