一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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西と東の里山の違い

質問者:   自営業   ホッチキス
登録番号1200   登録日:2007-02-26
先日神奈川まで行く機会があったのですが、神奈川の森の風景はどこを見ても落葉樹林ばっかりで、照葉樹を探すのが一苦労です。
気温的な面からいえば、関西と神奈川では違いは無いはずですが、関西では落葉樹林は少なく、あったとしても林庄には照葉樹が芽吹いてきていてあまりキレイな雑木林ではありませんが、関東では結構きれいに里山が残ってます。
この違いはその土地の人々の生活習慣の違いからでしょうか、それとも自然のものでしょうか?
ホッチキスさま

たいへん長い間お待たせしました。お寄せ頂いたご質問の回答は東京大学の大沢雅彦先生にお願いしました。大沢先生は大変お忙しい中、頂いたご質問の中身を検討して、以下のようなコメントを下さいました。コメントにもありますように、的確な回答を頂くためには、質問のポイントを絞る必要がありそうです。大沢先生のご回答をご検討の上、質問し直すことをお薦めします。

質問が漠然として、あいまいです。ポイントをもう少し絞って質問してください。神奈川のどこを指しているのか、神奈川といっても海岸から最高地点蛭ヶ岳の1600mあまりまであります。海岸から低地部は常緑樹林ですが800〜1000m以上は冷温帯落葉樹林となります。関西となれば、もっと漠然としていて、どこのことを指していっているのかわかりません。
また、自然林と里山のように人手が入っている山では成因がそもそも違いますし、里山の場合は管理の仕方で林床の様子などは大きく異なります。その場合は、温度条件よりも、人間活動の影響によって、森林の様子は全く異なるというわけです。
野外観察の結果を科学的に解析するためには、自然条件だけでなく、長い間かかわってきた人間の影響を無視することは出来ません。自然条件については、マクロな分布を決めるのは温度条件(緯度、標高)、降水量(日本では、どこでも雨が多く、あまり重要な制限要因とはなりません)など「気候条件」ですが、同じ気候条件の地域でも、斜面の向きや尾根、斜面、谷などの地形上の位置、土壌条件など、「地形・土壌条件」によってどのような森林が出来るかは異なります。さらに、そのうえで、上で述べた人間活動の影響が加わっています。
ある場所の森林の特徴(構造、組成、機能)を観察したら、その特徴を決めている要因を、このように階層的に整理して、明らかにしていくことによって、なぜそうなのか明らかにしていくことが出来ます。このような手法は、生態学と呼ばれる分野でマニュアル化されています。

大沢 雅彦(東京大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-03-26
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