一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ハンノキの冬芽の脂質?のはたらきは?

質問者:   一般   青い空
登録番号1210   登録日:2007-03-13
北海道に住んでいます。樹木はなぜ凍死しないか疑問を持っておりました。”氷点下になった時など植物内の水は凍結しないのか?”についてのQ&Aを興味深く読ませていただきました。2月に樹木の冬芽の観察会で、ハンノキやドロノキの芽を指でもむとネバネバしており、いいにおいがしました。樹脂との説明がありました。数日前、ケヤマハンノキの雄花に触ると花粉が飛び、もうネバネバはありませんでした。この「ネバネバ」は本当に樹脂なのか? その役割は?なぜ「ネバネバ」は無くなったのか?匂いの素は?教えていただきたくお願い致します。
青い空様

樹木の冬芽は、春に芽吹きをして、樹が成長を継続するための茎頂が保護されていますが、茎頂ではなく花芽である場合もあります。いずれにしろ、冬芽の外側は一般に強固で、水や空気を透さない芽鱗で包まれています。その表面はモクレンのように長い毛で覆われていることもありますし、いわゆる樹脂で覆われていることもあります。樹脂というのは松脂のようなもので、その主成分はテルペノイドとよばれる物質です。テルペノイドは揮発性ですから、香りがします。嗅ぐと、新鮮は感じの爽やかの香りをすることが多いです。植物から分泌されるテルペノイド樹脂は粘着性がつよいものですが、乾燥するにしたがって固くなると思います。樹脂の役割ははっきり分かりませんが、芽鱗が機械的な原因で傷ついたり、はがれてしまったりしないように補強の役割を果たしているのでしょう。また、鳥や動物に食むれないようにしていることもあるでしょう。ネバネバや香りはそのために役立っているのかもしれません。芽鱗は冬芽の休眠が破れて成長がはじまると、また、開花すると剥がれ落ちてしまします。中には、たとえば、ハナミズキやヤマボウシの花のように、花の一構成要素となって残るものもあります。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-03-25