一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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天狗巣病について。

質問者:   高校生   琳
登録番号1218   登録日:2007-03-23
はじめて質問させて頂きます。
我が家の近所には桜がずっと生えている通りがあるのですが、
最近、枝が天狗巣病のようになっている桜があることに気が付きました。
一応天狗巣病についてインターネットで調べてみると、
「枝が密集」「枝の基部に瘤」という言葉がほぼ必ず出てきます。
しかし、僕のような素人にはたまたま枝が多いようにも、
たまたま枝が太いだけのようにも見えてしまいます。
そこで、多くの専門的な知識を持つ方が居られるここであれば的確な判断をして頂ける方がいるのではないかと思い、以下の質問させて頂くことにしました。
①枝が密集しているが瘤が見当たらない場合でも天狗巣病なのか。
②枝が密集している上に、瘤らしき箇所もあるが花をつけている場合は天狗巣病なのか。
③瘤はあるが枝が密集していない場合でも天狗巣病なのか。
④瘤のすぐ下で切除してよいのか。
⑤切除に使用する器具はどのように消毒すればよいのか。
⑥[http://www.geocities.jp/hikahiscst/sakura.html ]左記URLにある写真の中で天狗巣病だと断言できる木はあるのか。
以上の6つです。
一つでもお答え頂ければ幸いです。

いきなり多くの質問をしてしまい、申し訳ありません。
乱文失礼致しました。
琳 さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。ご質問は標記の番号で受け付けました。、森林総合研究所の勝木俊雄先生に回答をお願いしたところ、以下のような明快な回答をいただきました。お持ちの疑問も解消することでしょう。

てんぐ巣病において「瘤」は結果的に形成されるものなので、「瘤」のあるなし、あるいは「瘤」かどうかの判定は気にしなくてよいでしょう。それよりも重要なのが枝の形状です。サクラの新しく伸びる枝には長枝と短枝という区分があります。長枝とは枝の先端部などによく見られる枝で、長く伸びた枝に葉がまばらにつきます。これに対して短枝とは二年生の枝の測枝としてつく枝で、枝自体はほとんど伸びないのでひとつの芽に数枚の葉がついているように見えます。花芽がつくのはふつう短枝のほうです。そしててんぐ巣病の枝は、短枝はなく長枝ばかりなので、てんぐ巣病の枝にはほとんど花芽がつかないのです。したがって、てんぐ巣病の見わけ方としては「瘤」のあるなしではなく、密集した枝が長枝ばかりなのか、短枝もあるのかで判断する方が確実でしょう。一点から長枝が数本出ていると、てんぐ巣病の疑いありです。
なお、質問の答えは以下のようになります。
1.てんぐ巣病の場合もあります
2.てんぐ巣病でも花をつける場合もあります
3.てんぐ巣病の初期症状では枝は密集しませんので、判断できません
4.瘤の周囲は感染の可能性があるので、出来るだけ大きく切除した方がよいでしょう
5.てんぐ巣病の病原菌は子のう菌の一種なのでふつうに洗う程度で充分でしょう
6.写真のほとんどはてんぐ巣病だと思われます

勝木 俊雄(森林総合研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-03-26
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