一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サンセベリアの斑について。

質問者:   会社員   ヒロスケ
登録番号1220   登録日:2007-03-29
日頃、気に入った物や変わった物を挿し木や葉差しで増やして楽しんでいます。
色々と実践した中で、一つ疑問が湧いて来たので回答を頂けたらと思います。


サンセベリの葉差しで斑が消えてしまう理由は?


通常は変異した性質を引き継ぐ為に、挿し木等を行うと思うのですが。
サンセベリアの斑は、葉が出て来る箇所(芽?)の構造で斑入りの模様が出来るのですか?

こんな質問なのですが、回答頂ければと思います。
宜しくお願い致します。
ヒロスケ 様

本コーナーに質問をお寄せ下さりありがとうございました。ご質問には、植物の斑入り現象について研究されている岡山大学資源生物科学研究所の坂本 亘先生から、下記の回答をいただきました。ご参考にして下さい。

サンセベリアの斑入りは、いわゆる周縁キメラという外側に斑が入るパターンが多いですが、その他さまざまな斑入り模様の品種が園芸店などで売られているようですね。

さて、サンセベリアの葉挿しで斑入りがなくなるのは、斑入りの原因が葉緑体(クロロプラスト)の中にある遺伝子の突然変異によるためと考えられます。葉緑体は細胞の中に多数あり、正常な葉緑体遺伝子を持っているとその細胞が緑になり、異常な遺伝子を持っていると白く(もしくは黄色く)なります。斑入りの品種ではこれらが混ざっているために、黄色いところと白いところができます。葉は、株の中心にある生長点(分裂組織)からできますが、ここには正常と異常な葉緑体が混ざっているために株分けでは斑入りの葉ができます。ところが葉挿しにすると、生長点が挿し葉の緑色の部分からしかできません。緑のところには正常な葉緑体しかないため、できた葉には斑がなくなってしまいます。挿し葉で緑の部分からだけ葉ができる理由は、サイトカイニンという植物ホルモンが葉緑体で合成されるためと考えられます。

サンセベリアの斑入りを実際に調べたことはありませんが、もし、上に述べたような葉緑体遺伝子の突然変異が斑入りの原因だとすると、葉緑体遺伝子は母親からしか伝わらないので、斑入りが母性遺伝するはずです。また、なぜいろんな斑ができるかは、今のところよくわかっていません。斑入りの詳しい解説については、本コーナーに他の回答がありますので、そちらを参考にして下さい。

坂本 亘(岡山大学資源生物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-04-10
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