一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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光量子とは

質問者:   高校生   たね
登録番号1226   登録日:2007-04-04
室内で植物を育てる時に、ルックスよりも光量子を測定したほうが良いということですがそれはなぜですか?、一般的に屋外、室内でルックスと光量子を測定するとどう異なり、その数値にはどんな意味があるのですか?パンジー、バーベナ、ビオラ、ゼラニウムなど春の花壇で咲く植物に適した光量子、室内で育てるセントポーリアの最適光量子を教えてください。
たね さん

本コーナーに質問をありがとうございました。
「ルックス」は、光を受ける面の明るさ(照度)を表す単位で、例えば部屋の照明設計などの実用的な場面で広く使われています。照度(ルックス)がどのように定義されているかについてここで詳しく述べませんが、その特徴は“明るい”とヒトが感じる量であるところにあります。ヒトが明るいと感ずるためには、目の網膜の細胞にあるロドプシンなどの視物質が光を吸収する必要があり、その吸収の波長範囲は限られています(“可視光線”の範囲と言うことになります)。これに対し、植物の生育に必要なのは、クロロフィルやフィとクロムなどの色素が吸収する光で、視物質の吸収する範囲を越えた広い波長範囲に及びます。要するに、照度計の能力の範囲を越えていることになります。

ところで、光は「光量子」と呼ばれるエネルギーのかたまり(粒子)と考えることができます。ここで重要なことは、上述の色素などの化学物質が光を吸収して反応(光化学反応)を起こす場合、1つの分子が1個の光量子を吸収して反応が開始されるのが普通であることです。より正確には、「光の吸収は常に光量子を単位として行なわれ、吸収は常に分子や原子が一時に1個の光量子を取り込むという形で起こる」との原則があることです。この理由からも、植物の生育に必要な光を考える場合などにおいては、照度の単位としてのルックスを使うより、化学反応に直結する光量子の数を使うのが科学的であると言うことになります。

以上がご質問に対する答えですが、太陽の光を使うなど、同一の(可視)光源を利用するにする場合には、ルックスを光強度の目安として比較することは可能です。ところで、貴方はどんな方法で照度や光量子の数を計りますか。
パンジーなどの植物の生育に最適な光強度については、具体的にお教えすることは私には出来ません。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-04-10
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