一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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トマトの糖度について

質問者:   自営業   トマト君
登録番号1232   登録日:2007-04-18
以前にもこのコーナーに質問が寄せられていましたトマトの糖度について質問します。水分ストレスを与えると糖度があがるとありました。水の引きやすい圃場であれば容易にストレスを与えて糖度を上げることもできると思います。
ここで質問なのですが、水分ストレス以外で糖度を上げるシステム(植物にとってはいい迷惑だと思いますが)が植物の体内の中にあるのですか。栽培方法のヒントにしたいと思って投稿しました。
トマト君

みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を広島大学の桜井直樹先生と野菜茶業研究所の鈴木克己先生にお願いし、お二人から回答を頂きました。回答に重複する所がありますので、私がまとめたものをお届けします。

高糖度トマトの生産方法として土耕栽培の場合、果実肥大期に灌水量を少なくして、水分ストレスを与えるのが一般的です。養液栽培の場合は塩処理(塩類ストレス)をかけます。糖度がどのくらい以上から高糖度トマトと呼ぶとかは正式には決まっていません。ストレスをかけて糖度を上げると果実は反比例して小さくなるため、デパートで見かける高糖度トマトは50g前後かと思われます。栽培中にストレスをかけると尻腐れ症などの障害果が発生しやすいので、各生産者の方々は独自のノウハウをもって取り組んでおられます。水ストレスを与えて、トマトの糖度が上がるのは、果実が小さくなった結果だと考えられています。つまり、果実1個あたりの糖分は普通のトマトとほとんど変わらないそうです。したがって、トマトの糖分を上げるにはトマトが大きくならないようにすれば良い、と考えれば、水ストレス以外の手段があるかもしれません。トマトの生長を抑制する手段は、色々あると思われます。生長抑制剤も方法のひとつですが、光合成を抑えてはいけません。これも色々試して見なければならないでしょう。

桜井 直樹(広島大学)/鈴木 克己(野菜茶業研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-05-07
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