一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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オーキシンの移動経路について

質問者:   教員   てつお
登録番号1234   登録日:2007-04-18
 ご多忙な先生方が貴重な時間を割いて丁寧に答えて下さっているので、しばしば授業準備に愛用させて頂いております。

 オーキシンの先端部から基部への極性輸送は、よく知られており、これによって、頂芽優勢や重力屈性の説明が高等学校の教科書でもなされています。

 生徒から質問を受けてオーキシンの移動経路がわからなかったケースが2つありましたので質問させていただきます。
 (1)重力屈性の説明で、茎において下側がより濃くなり、その分より伸長   が促進されて上へ屈曲するとありますが、この下への移動は、アポプラ   スト経由(細胞の外側を通る経路)で起きていると考えて良いですか。
 (2)根の重力屈性に根冠より分泌されるオーキシンの影響が高校の教科書   に紹介されていますが、根冠より分泌されるオーキシンが根の先端から   基部に上がってくる経路を教えて下さい。 
 よろしくお願いします。
 
てつお様

質問にお答えします。
根では、茎から輸送されてきたオーキシンが維管束系を通って根端に向い求頂的に輸送されます。根端では、オーキシンは根の中央の維管束組織から流出して周囲の皮層及び表皮へ均等に再配分され、今度はそこを求基的に上に向って輸送されます。茎と根の分岐部ではどうなっているのかは明らかでありません。根端でのオーキシンの再配分の機構については諸説ありますが、これも現時点では明確ではありません。重力屈性などから根端が関与していること、Caイオンが関係していることなどが知られています。また、根の重力屈性にはオーキシン以外の要因が関わっていることも知られています。いずれにしろ、重力屈性が起きる場合、横にした根では、根端でのオーキシンの再配分が不均等になり、下側のオーキシンの濃度が高くなります。質問(2)への直接的回答は「皮層および表皮」ということです。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-04-26
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