質問者:
会社員
芝生や
登録番号1235
登録日:2007-04-19
ゴルフ場の芝生の育成に携わる者ですが、芝生の土壌がプレーヤーによる踏圧で硬くなってしまい、土壌の透水性が悪くなってしまいます。みんなのひろば
土壌中の酸素濃度について
土壌中の酸素濃度を測ってみようと思うのですが、芝の生育に必要な濃度がわかりません。
一体どれくらいの酸素濃度が確保されていれば、生育に影響がないのかをお教え下さい。
また、同時に二酸化炭素濃度は、どれくらい上昇すると根域に影響を与えるのかもお教え下さい。
よろしくお願いします。
芝生や 様
少し遅くなりましたが、ご質問に下記のように回答させていただきます。なお、この回答は、植物の根の生理学について研究されている拓殖大学工学部の仁木輝緒先生がお答えくださったものです、ご参考にしてください。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
ご質問は、「一体どれくらいの酸素濃度が確保されていれば、生育に影響がないのかをお教え下さい。また同時に、二酸化炭素濃度はどれくらい上昇すると根域に影響を与えるのかもお教え下さい」と言う内容のものですが、これに対して正確にお答えはするのは少々困難です。それは芝生に用いている植物がどのような品種で、酸素濃度低下にどの程度抵抗性を持つか分からないからです。芝生に用いる品種は多種あり、そのような(踏圧)から発生する問題をクリアする品種も作出されているようです。
そのような問題に対する解決策なら、ゴルフ場の芝生を専門とする業者に相談するのが適切でしょう。関係する学協会としては日本芝草学会という学会があります。この学会のホームページは、http://www.tctv.ne.jp/members/jsts/です。ここでは芝の成長と土壌環境についての研究がいくつか報告されています。芝草は、人に踏みつけられることを前提として、そのような土壌物理環境下でも青々と元気に成育することを宿命付けられた植物種ですので、ご質問の内容についてもかなり踏みこんだ研究例が見つかるかもしれません。
関連して、研究者仲間からの情報を数例、以下に紹介します。ご参考にしてください。
●[研究論文]
浅野義人・羅玄載・朴烽柱(2000):踏圧耐性芝生の造成に関する基礎的研究―草種,緩衝資材,ケイ酸質肥料の影響―
「芝草研究」第28巻第2号(3月発行)
●[研究論文]
真行寺 孝・加藤正広(2004):根圏砂層の厚さを変えた床構造と造成年度がクリーピングベントグラスのグリーンの透水性および関連特性に及ぼす影響・・・・・93
「芝草研究」第32巻第2号(3月発行)
植物の専門の立場から申しますと、”芝生の元気度”(簡単な表現にします)は根の発育に左右されると思います。一度そのような場所の芝生を掘り出し、土壌を取り除き(水で洗う)丁寧に根の長さとか根の広がりとか、根の重量を観察してみてください(この時必ずそのような影響を受けていない所で採取した根とも比較してください)。その形態から根がどのような影響を受けているのか推定できると思います。根は成長において土壌の機械的抵抗、水、空気(酸素濃度、CO2濃度)、温度等によって影響を受けています。回答者は芝生等を試験しておりませんが、陸生の栽培植物では根は結構低酸素濃度に耐性を示しています。それは植物が、根の環境悪化に対して茎・葉が応え、個体としての死を避ける種々の戦略をとっているから、と考えています。10%程度の酸素濃度(v/v)で根の成長は抑制されますが、枯死することは少ないです。水の酸素濃度は約4.5mg/Lくらいですが、湛水(冠水)状態でも通常は短時間では致死的影響は受けません、但し成長は抑制されます。
CO2濃度に関しては3-5%レベルでも、蒸散速度の低下とか、葉の黄化がひどくなる場合があるようです。但し他の要因と組合わされることによって種々変わりそうです。根は光合成を行わない部分ですので、少ない或いは無い方がよいかもしれません。繰り返しになりますが、もし芝生への対処方法ということをお考えでしたら、耐性のある品種を用いるか、踏み固められる部分の土質の改良を試みてはいかがでしようか。芝生専門業者、学協会の専門誌から情報を得ることを薦めます。
酸素濃度の測定する機器は少々高価ですが、信頼性の高い製品が発売されております。
少し遅くなりましたが、ご質問に下記のように回答させていただきます。なお、この回答は、植物の根の生理学について研究されている拓殖大学工学部の仁木輝緒先生がお答えくださったものです、ご参考にしてください。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
ご質問は、「一体どれくらいの酸素濃度が確保されていれば、生育に影響がないのかをお教え下さい。また同時に、二酸化炭素濃度はどれくらい上昇すると根域に影響を与えるのかもお教え下さい」と言う内容のものですが、これに対して正確にお答えはするのは少々困難です。それは芝生に用いている植物がどのような品種で、酸素濃度低下にどの程度抵抗性を持つか分からないからです。芝生に用いる品種は多種あり、そのような(踏圧)から発生する問題をクリアする品種も作出されているようです。
そのような問題に対する解決策なら、ゴルフ場の芝生を専門とする業者に相談するのが適切でしょう。関係する学協会としては日本芝草学会という学会があります。この学会のホームページは、http://www.tctv.ne.jp/members/jsts/です。ここでは芝の成長と土壌環境についての研究がいくつか報告されています。芝草は、人に踏みつけられることを前提として、そのような土壌物理環境下でも青々と元気に成育することを宿命付けられた植物種ですので、ご質問の内容についてもかなり踏みこんだ研究例が見つかるかもしれません。
関連して、研究者仲間からの情報を数例、以下に紹介します。ご参考にしてください。
●[研究論文]
浅野義人・羅玄載・朴烽柱(2000):踏圧耐性芝生の造成に関する基礎的研究―草種,緩衝資材,ケイ酸質肥料の影響―
「芝草研究」第28巻第2号(3月発行)
●[研究論文]
真行寺 孝・加藤正広(2004):根圏砂層の厚さを変えた床構造と造成年度がクリーピングベントグラスのグリーンの透水性および関連特性に及ぼす影響・・・・・93
「芝草研究」第32巻第2号(3月発行)
植物の専門の立場から申しますと、”芝生の元気度”(簡単な表現にします)は根の発育に左右されると思います。一度そのような場所の芝生を掘り出し、土壌を取り除き(水で洗う)丁寧に根の長さとか根の広がりとか、根の重量を観察してみてください(この時必ずそのような影響を受けていない所で採取した根とも比較してください)。その形態から根がどのような影響を受けているのか推定できると思います。根は成長において土壌の機械的抵抗、水、空気(酸素濃度、CO2濃度)、温度等によって影響を受けています。回答者は芝生等を試験しておりませんが、陸生の栽培植物では根は結構低酸素濃度に耐性を示しています。それは植物が、根の環境悪化に対して茎・葉が応え、個体としての死を避ける種々の戦略をとっているから、と考えています。10%程度の酸素濃度(v/v)で根の成長は抑制されますが、枯死することは少ないです。水の酸素濃度は約4.5mg/Lくらいですが、湛水(冠水)状態でも通常は短時間では致死的影響は受けません、但し成長は抑制されます。
CO2濃度に関しては3-5%レベルでも、蒸散速度の低下とか、葉の黄化がひどくなる場合があるようです。但し他の要因と組合わされることによって種々変わりそうです。根は光合成を行わない部分ですので、少ない或いは無い方がよいかもしれません。繰り返しになりますが、もし芝生への対処方法ということをお考えでしたら、耐性のある品種を用いるか、踏み固められる部分の土質の改良を試みてはいかがでしようか。芝生専門業者、学協会の専門誌から情報を得ることを薦めます。
酸素濃度の測定する機器は少々高価ですが、信頼性の高い製品が発売されております。
拓殖大学・工学部
仁木 輝緒
回答日:2007-04-26
仁木 輝緒
回答日:2007-04-26