質問者:
高校生
__和__
登録番号1236
登録日:2007-04-20
先日、薄層クロマトグラフィーの実験を行いました。みんなのひろば
薄層クロマトグラフィーのRf値
試料は緑茶、紅茶、唐辛子を使用しました。
抽出溶媒はエタノールです。
展開溶媒は石油エーテル/アセトン=65/35(容積比)
上記の3つ試料に含まれる色素はなにがあるのでしょうか?
色素名を教えてもらえると助かります。お願いします。
_和_ さま
緑茶、紅茶、唐辛子、これらの乾燥された試料にエタノールを加えて抽出した液を(恐らく)濃縮してから、薄層クロマトグラフィーにスポットし、展開されたと思われます。これで実際に, Rfが幾らぐらいのところに、どのような色の植物色素のバンドが見られたのかが分かれば、そのバンドの色素を推定できるのですが、今は、これらの試料にどのようなエタノールに可溶性の色素が含まれているかについて考えて見ます。植物の花の色など、植物に多彩な色彩を与えている(アントシアンなど)フラボノイド系の色素は水溶性であるため、エタノールには余り溶けず、したがって抽出されないでしょう。
緑茶、紅茶は同じチャの葉を原料として作られますが(本質問コーナー、登録番号0740に対する回答を参照)、緑茶はチャの葉の色素がそのまま残っているため、緑のバンドはクロロフィール、黄色のバンドはカロテノイドと考えてよいでしょう。紅茶はチャの葉を発酵させて作っているため、クロロフィール、カロテノイドはその間に分解してしまい、緑茶と異なりこれらはバンドとしては検出できないでしょう。ただ、チャの葉が発酵している間にチャの葉に含まれていた無色のフェノール類が重合してポリフェノール(タンニン)となり、これが紅茶の色である褐色を与えます。ポリフェノールはエタノールに溶けるため、これを薄層クロマトグラフィーで展開すれば、褐色のバンドを示すと思われます。ポリフェノールは単一の成分でないことが多いので、たくさんのバンドになるかも知れません。トウガラシの果実を乾燥した唐辛子は、クロロフィールはすでに分解し、赤い色はトウガラシ特有のカロテノイド(カプサンチン)によるものです。このカロテノイドはエタノールに溶けるため、薄層クロマトグラフィーで紅色のバンドを示すと思われます。
緑茶、紅茶、唐辛子、これらの乾燥された試料にエタノールを加えて抽出した液を(恐らく)濃縮してから、薄層クロマトグラフィーにスポットし、展開されたと思われます。これで実際に, Rfが幾らぐらいのところに、どのような色の植物色素のバンドが見られたのかが分かれば、そのバンドの色素を推定できるのですが、今は、これらの試料にどのようなエタノールに可溶性の色素が含まれているかについて考えて見ます。植物の花の色など、植物に多彩な色彩を与えている(アントシアンなど)フラボノイド系の色素は水溶性であるため、エタノールには余り溶けず、したがって抽出されないでしょう。
緑茶、紅茶は同じチャの葉を原料として作られますが(本質問コーナー、登録番号0740に対する回答を参照)、緑茶はチャの葉の色素がそのまま残っているため、緑のバンドはクロロフィール、黄色のバンドはカロテノイドと考えてよいでしょう。紅茶はチャの葉を発酵させて作っているため、クロロフィール、カロテノイドはその間に分解してしまい、緑茶と異なりこれらはバンドとしては検出できないでしょう。ただ、チャの葉が発酵している間にチャの葉に含まれていた無色のフェノール類が重合してポリフェノール(タンニン)となり、これが紅茶の色である褐色を与えます。ポリフェノールはエタノールに溶けるため、これを薄層クロマトグラフィーで展開すれば、褐色のバンドを示すと思われます。ポリフェノールは単一の成分でないことが多いので、たくさんのバンドになるかも知れません。トウガラシの果実を乾燥した唐辛子は、クロロフィールはすでに分解し、赤い色はトウガラシ特有のカロテノイド(カプサンチン)によるものです。このカロテノイドはエタノールに溶けるため、薄層クロマトグラフィーで紅色のバンドを示すと思われます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2012-08-25
浅田 浩二
回答日:2012-08-25