質問者:
大学生
ゆり
登録番号1237
登録日:2007-04-20
レポートを書く関係で色々な文献を読んでいたのですが、各文献により世界や日本に存在している植物の種数に大きなばらつきが見られ、疑問に思い質問させていただきました。植物種
何故、こんなにも研究者や研究機関によって存在しているとされる植物の数にばらつきが出るのでしょうか?
また、日本と世界にそれぞれ存在している植物の正確な種数を教えていただけると幸いです。
ゆり様
みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を大坂市大植物園の田村 実先生にお願いいたしましたところ、回答と一緒に、兵庫県立人と自然の博物館の布施静香先生にお願いしてはどうかとのお薦めを頂きましたので、布施先生にも回答をお願いし、回答を頂きました。1つにまとめてお届けしようと思ったのでうが上手にまとまらず、頂いた回答をそのままでお届けすることになりました。きっと参考になると思います。
田村先生のご回答
世界の植物につきましては、記載(記録)された種の数だけでなく、未知の種 の数をも含めますと、未知の種の数の推定方法によって、世界の植物の種の数 は変わるのではないかと思います。
また、たとえ記載(記録)されていたとしても、種の認識が人によって異なれ ば、種の数も変わる可能性があるのではないかと思います。例えば、ショウジ ョウバカマとツクシショウジョウバカマを同種の別変種と考えるのか、別種と 考えるのか、人によって異なると思いますので。
布施先生のご回答
「世界の維管束植物の種数」については,現在文献より調査中ですので.種数が入っておりません.分かり次第ご連絡いたしますのでどうぞよろしくお願い致します.
<文献による種数のばらつきについて>
世界の植物について:
未知の種を含めて記述した場合と,実際に記載されている種で記述した場合では,数値が大きく異なります.
未知の種を含めた種数については,研究者によって推定方法が様々なので,大きく食い違っている事と思います.実際に記載されている種数については,「種」の認識が研究者によって異なっている場合があるので,種数にばらつきが生じます.
種数を数える時に文字通り「種」の数を数えているのか,または変種や亜種などを含んだ分類群を数えているのか,ということでも数値は変わります.
日本の植物について:
未知の種は殆どないと思いますので,ばらつきの原因は,上述の「種」の認識の違いと,「日本」の範囲の違いだと考えられます.
例えば,至文堂の「日本植物誌」では,沖縄,小笠原,トカラ列島は含んでいませんし,保育社の「原色日本植物図鑑」では,沖縄や小笠原はあまりカバーしていません.平凡社の「日本の野生植物」では沖縄や小笠原を概ね含んでいます(草本の巻は沖縄復帰以前に企画されたこともあり,同地域については掲載されていない種類もあります)ので,どの文献を引用したかで種数は異なります.
<正確な種数について>
新種の記載は日々行なわれていますし,研究者によって種の認識は異なりますので,正確な種数というのを示す事はできません.そこで,下記の文献に記述されている種数,という形でお返事いたします.
ゆりさんが調べておられる「植物」の範囲がどこまでかは分かりませんが,維管束植物で記載されている種数については下記のとおりです.
世界の維管束植物の種数:約235,500種(Judd et al. (2002) Plant Systematics: A Phylogenetic Approach, Scond Ed. Synauer, Massachusetts U.S.A.より)
(科ごとに種数が記されています.大学図書館などにあればご自分でも調べてみて下さい)
日本の維管束植物の種数:約4630種(変種や亜種等も含めると約7500の分類群が記されています).
「日本の野生植物」シダ,草本I, II, III,木本I, II.平凡社,東京.
田村 実(大坂市大植物園)/布施 静香(兵庫県立人と自然の博物館)
みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を大坂市大植物園の田村 実先生にお願いいたしましたところ、回答と一緒に、兵庫県立人と自然の博物館の布施静香先生にお願いしてはどうかとのお薦めを頂きましたので、布施先生にも回答をお願いし、回答を頂きました。1つにまとめてお届けしようと思ったのでうが上手にまとまらず、頂いた回答をそのままでお届けすることになりました。きっと参考になると思います。
田村先生のご回答
世界の植物につきましては、記載(記録)された種の数だけでなく、未知の種 の数をも含めますと、未知の種の数の推定方法によって、世界の植物の種の数 は変わるのではないかと思います。
また、たとえ記載(記録)されていたとしても、種の認識が人によって異なれ ば、種の数も変わる可能性があるのではないかと思います。例えば、ショウジ ョウバカマとツクシショウジョウバカマを同種の別変種と考えるのか、別種と 考えるのか、人によって異なると思いますので。
布施先生のご回答
「世界の維管束植物の種数」については,現在文献より調査中ですので.種数が入っておりません.分かり次第ご連絡いたしますのでどうぞよろしくお願い致します.
<文献による種数のばらつきについて>
世界の植物について:
未知の種を含めて記述した場合と,実際に記載されている種で記述した場合では,数値が大きく異なります.
未知の種を含めた種数については,研究者によって推定方法が様々なので,大きく食い違っている事と思います.実際に記載されている種数については,「種」の認識が研究者によって異なっている場合があるので,種数にばらつきが生じます.
種数を数える時に文字通り「種」の数を数えているのか,または変種や亜種などを含んだ分類群を数えているのか,ということでも数値は変わります.
日本の植物について:
未知の種は殆どないと思いますので,ばらつきの原因は,上述の「種」の認識の違いと,「日本」の範囲の違いだと考えられます.
例えば,至文堂の「日本植物誌」では,沖縄,小笠原,トカラ列島は含んでいませんし,保育社の「原色日本植物図鑑」では,沖縄や小笠原はあまりカバーしていません.平凡社の「日本の野生植物」では沖縄や小笠原を概ね含んでいます(草本の巻は沖縄復帰以前に企画されたこともあり,同地域については掲載されていない種類もあります)ので,どの文献を引用したかで種数は異なります.
<正確な種数について>
新種の記載は日々行なわれていますし,研究者によって種の認識は異なりますので,正確な種数というのを示す事はできません.そこで,下記の文献に記述されている種数,という形でお返事いたします.
ゆりさんが調べておられる「植物」の範囲がどこまでかは分かりませんが,維管束植物で記載されている種数については下記のとおりです.
世界の維管束植物の種数:約235,500種(Judd et al. (2002) Plant Systematics: A Phylogenetic Approach, Scond Ed. Synauer, Massachusetts U.S.A.より)
(科ごとに種数が記されています.大学図書館などにあればご自分でも調べてみて下さい)
日本の維管束植物の種数:約4630種(変種や亜種等も含めると約7500の分類群が記されています).
「日本の野生植物」シダ,草本I, II, III,木本I, II.平凡社,東京.
田村 実(大坂市大植物園)/布施 静香(兵庫県立人と自然の博物館)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-05-14
柴岡 弘郎
回答日:2007-05-14