一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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インドゴムノキ

質問者:   大学生   ミルキー
登録番号1239   登録日:2007-04-22
授業でインドゴムノキの鐘乳体を顕微鏡で観察しました。鐘乳体の入っている細胞は柵状組織を押し込んでるように見えたのですが理由があるのですか?あと、インドゴムノキは熱帯原産の植物ですが、温帯植物と比べ、熱帯植物の葉は熱帯環境に適応した特別な解剖学的特徴をもっているはずなのですが、それがわかりません。
ミルキーさま

みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を大阪市大植物園の岡田 博先生にお願いいたしましたところ、以下のような回答をくださいました。お役に立つと思いますので、しっかり読んで下さい。

岡田先生からのご回答

最初の質問ですが、よくわかりません。
表皮細胞のうち、中に鐘乳体を蓄積した細胞が鐘乳体が大きくなるにつれて、細胞の容積が大きくなって、外にではなく内側に肥大したために柵状組織を圧迫しているものと思います。

次の質問ですが、疑問が逆です。
陸上植物は水生植物(緑藻)が進化して陸上に進出したものです。現在のとこ
ろ、それは広く地球全体(といってもパンゲア大陸)が暖かく、温暖な気候の下にあったと考えられています(二酸化炭素が多かったこともその原因の1つ)。
その温暖な気候の下で被子植物も最初に熱帯で出現したと考えられています。やがて地球に温帯や寒帯など、あるいは雨季と乾季などという季節のある地域が広がって、それに適応して、分布を広げていったのが、温帯植物、寒帯植物などといわれるものです。熱帯植物はむしろもともと被子植物が出現したころの特徴を残している、と考えたほうがいいと思います。たとえば秋(あるいは乾季)の落葉や冬芽(正確には耐性芽)は熱帯植物にはあまり見られない特徴で、温帯植物、寒帯植物が獲得した性質で、この性質のために熱帯に比べてより厳しい気候(気温が0度以下になったりする)の地域にも分布を広げていくことができたのです。
熱帯といっても、陸上植物が進出したパンゲア大陸があったころの気候は湿潤熱帯で、この湿潤熱帯が原産地の植物には耐性芽ができず、年中新芽ができて葉が供給されていきます。乾燥の厳しい季節のある熱帯では耐性芽ができて、落葉しその季節は休眠して過ごします。
熱帯植物の葉の特徴の1つは、低温(10度以下)にさらしてやると葉が凍傷を起
こし、黒変することです。これは解剖して細胞を光学顕微鏡で見てもどのようになっているのかはわかりません。細胞膜の膜構造が低温によって壊れたために、膜に分布している酵素の働きが失われ細胞が死に、やがて葉が腐ったようになってしまいます。

岡田 博(大阪市大植物園)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-04-26
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