一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹木で世界最大と云われるセコイヤ杉の吸水量

質問者:   自営業   安富 ジョージ 康夫
登録番号1241   登録日:2007-04-23
今夏の休日を利用して中部カリフォニアにあるセコイヤ国立公園に行きますが、セコイヤ杉は世界最大の樹木と云われておりますので参考資料として同杉の1、体積、2、自重、3、吸水量を知りたいと思いますのでご教示下さいませ。

尚、上記の3項目を知りたい背景としまして今期の南カリフォニアの年間降雨量が観測史上記録的に少なかったことから、巨木を維持できるだけの雨量の有無と樹木の状態を調べてきたいと思っております。

同杉は世界最大の生物と云われておりますが、地球温暖化が原因で旱魃になり、その結果、枯れてしまうことが心配され、それの確認を含めてセコイヤ国立公園に行きたいのです。

宜しくお願い申し上げます。

安富 拝
安富 ジョージ 康夫 様

ご質問の米国、カリフォルニアのセコイア国立公園で、(生物の体積として)世界最大とされているのは、正確にはセコイアデンドロンSequoiadendron giganteum (セコイアメスギとは別の属)で、樹高は83.8 m, 地上1.4 mでの周囲が25.3 mであり、重さ2000トン以上、樹齢3500年と推定されています。一方、同じスギ科ですが一般にセコイアとよばれているセコイアメスギSequoia sempervirensの内で最も高いのは同じカリフォルニアのレッドウッド国立公園にあり、樹高111.3 m、周囲13.4 mであり、現在、これが世界で最も高い樹木とされています。

これらの樹木の体積、自重、吸水量のご質問ですが、これらは正確にお答えするのは難しい問題です。手元の本では高さ、周囲(外径)は記されていますが、(特に根の重さを含めた)自重は測定できないため、上に示した重さは推定値にすぎません。体積も高さ、外径から推定するより他ないわけですが、そのようなデーターを見つけることはできませんでした。関心をもたれている吸水量もこの巨木そのものの値は示されていませんが、生態的に針葉樹林での吸水量に相当する蒸散量がどれくらいになるかが測定されています。根から吸収された水は道管を経て葉に送られ、そのほんの一部は光合成反応で消費され酸素を発生してなくなりますが、大部分の水は気孔から蒸散作用によって大気中に放出されます(これによって根から無機養分を吸収、転流させるとともに、葉の温度調節をしています)。針葉樹林の蒸散量は1年間に500-800 mm(水柱)と測定されています。米国西部海岸の降雨量は年間500mm(サンフランシスコ)-950 mm (シアトル)ですが, 山岳地方の降水量はどれ位でしょうか? 
将来も蒸散量に見合う降水量が上の国立公園にあるように祈りたいものです。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2007-05-08
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