一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

エーデルワイスの花びら(苞葉)の数

質問者:   会社員   松原 徳男
登録番号1253   登録日:2007-05-08
はじめまして。初めて質問をさせていただきます。
私は植物が好きで、時折自分で絵を描いたりするのですが、エーデルワイスで白い花びらのように見える葉(苞葉と言われる部分)の「枚数」は決まっているものなのでしょうか?
後からインターネット等で調べてみたのですが、5枚1組となって何段かになって付いているようにも見えますが、はっきりと分かりませんでした。
調べているうちに、こちらの「みんなのひろば」のページにたどり着き、質問させていただいた次第です。
できれば正確な絵を描きたいという願望がありまして、たわいない質問で誠に恐縮ですが、お教えいただければ嬉しいかぎりです。
なにとぞよろしくお願い申しあげます。
(もし、この質問が「質問コーナー」のご主旨にそぐわないようでございましたら、無視していただいて結構でございます)
松原 さん:

エーデルワイスの総苞の数について、東京大学の塚谷先生から以下のような回答を頂きましたのでお送りします。いくつに書いても正確な絵になるかもしれませんが、描く対照の植物だけはきちんと同定して下さい。

松原さん

ご質問ありがとうございます。苞葉の数ですか。これはまちまちです。苞葉は花の外にあって特殊化した葉ですが、その形や色、数は特定の特徴を確実に示す場合と、普通の葉との間で連続的に変化する場合とがあります。
例えばハナミズキのような種ですと、苞葉の数は4と決まっていますし、色や形においても葉との違いが明瞭です。初夏に山でよく見かけるテンナンショウとかウラシマソウ、あるいは湿原に咲くミズバショウの場合は、いわゆる仏炎苞という苞葉が、1枚だけつきます。ですがポインセチアの苞葉は、ご存じのように植物の状態によって数がまちまちですし、下の方につく苞葉ほど、普通の葉に似た形と色になります。
エーデルワイスの苞葉は、まさにポインセチアと同じタイプですね。下の方の苞葉は、形も表面の毛の状態も葉とあまり違いがありません。一枚一枚の間の茎が伸びて間隔が空いているのも、葉と同じです。しかし花に近づくにつれていよいよ毛が密になり、形も花びら的になり、間隔も詰まって、頭花のまわりをぐるりと取り巻くようになります。その取り巻く数も、株の状態によります。つまり、勢いがあってたくさん頭花がつけば、それだけ苞葉も多くなります。ですから、お尋ねの部分については、特に何枚と決まっているというわけではない、というのがお答えになるかと思います。
なお、頭花のところにあって、小さく黒い色をして純白の毛と良いコントラストをつけている部分も、苞葉です。総苞片という部分です。セイヨウタンポポと日本産タンポポとを区別するときに、反り返っているかどうか見るところですね。エーデルワイスの場合、あれが複数ぎっしり並んだところを、さらに外から包んでいるのが、お尋ねになっているところの苞葉というわけです。花弁は総苞片のさらに内側の、細かな花の一つ一つに5枚ずつ着いています。

塚谷 裕一(東京大学大学院・理学系研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-05-18
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内