一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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同調培養とは

質問者:   高校生   きん
登録番号1255   登録日:2007-05-09
植物培養の本を見ていたら同調分裂という言葉が出てきました。ネットで調べたり、本を読み返しても何に対して使われるのか、メリットやデメリットがわかりませんでした。同調培養はどのような事につかわれていているのでしょうか?
お手数ですが回答よろしくお願いします
きん さん

高校生ということですので、生物の授業で細胞周期のことは学習されていることとおもいますが、簡単に復習しましょう。細胞分裂の結果できた娘細胞は成長して、また、細胞分裂をおこないます。この分裂は細胞が分化して、分裂機能を失わない限り、次々と繰り返えされ、細胞は増殖します。このような分裂サイクルを細胞周期といいます。細胞周期は、核分裂期(M期)→DNA 合成前期(G1期)→DNA合成期(S期)→DNA 合成後期(G2期)の順に進行します。ところで、細胞周期の進行中にそれぞれの細胞ではどんな生化学反応が起っているのか、また、顕著なのか、どんな遺伝子が発現しているのか等と言うことを調べるには、一つの細胞だけを対象にして実験をおこなうことは普通ではできません。組織全体を材料にすると、様々な細胞が混じることになります。また、同一細胞の培養系を使っても、全ての細胞が足並揃えて細胞分裂を繰り返している訳ではありません。そこで、全ての細胞が足並揃えて増殖できるように調整した培養系をつくれば、都合が良い訳です。そのような培養を同調培養と呼びます。同調培養では細胞周期の進行がシンクロナイズしていますから、細胞周期のどの時期も同調していることになります。同調培養を得るにはさまざまな方法が試みられていますが、実際には全ての細胞を完全に同調させることはできていません。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-05-14
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