質問者:
高校生
きん
登録番号1260
登録日:2007-05-11
植物関係の本を読んでいたらメリクロンという言葉がありました。メリクロンの培地
調べてみたらランの茎頂培養のことを示すとありました。よくカビが生えるとありました。メリクロンでは固体培地が主流だそうですが、なぜ液体培地ではいけないのでしょうか?液体培地の方が価格も安く液体に漬けるわけですから液体中にppmなどの防カビの薬品を入れればカビは固体培地よりも発生しにくく通気培養や攪拌培養を行えばいいのではと思いますが、なぜでしょうか?
きん さん
まず、メリクロン培養のことを簡単に説明します。メリクロンと言う言葉は、英語の meristem (茎頂)とclone (栄養系)の合成語で、種子からではない、植物体の茎頂(成長点)に由来する栄養繁殖体を指します。茎頂は未分化の分裂組織なので、それを取り出して人工的に培養すれば、植物体が形成されてきます。このようにして得られた植物体は親と同じ遺伝子型を持つことになります。もともと植物は、挿し木のように、栄養繁殖させやすいのですが、茎頂分裂組織から個体を分化させるほうが、ウイルスなどに感染していない苗を得ることができます。そのような目的で、園芸業者や栽培業者はラン(特にシンビジュウム)、キク、カーネーション、ジャガイモ、ダリア等その他多くの植物で実際にメリクロン培養を行っています。ところで培養の方法ですが、確かに固体培養と液体培養の二つの方があります。一般に植物の組織培養にはどちらを使うのが良いかは植物の種類、目的によって一概に決められません。液体培養用の培地は、ただ単に固体培養用の培地から寒天などの固化材を抜いただけのものではありません。また、固体培養はふつう静地培養ですが、液体培養は震盪培養するのがふつうです。実際にメリクロン培養を行っている園芸家などに聞いてみれば分かるのかもしれませんが、栽培業者はいかに大量に効率良く、低コストで苗を生産することができるかを常に問題にするはずです。もし、固体培地を使っているならば、そちらの方が経済性が高いとか、液体培地ではうまく苗ができないということがあるのでしょう。ちなみに、よくカビが生えるかどうかは操作上の問題で、滅菌がきちんとおこなわれていれば大丈夫のはずです。質問中のppmというのは分かりかねますが、濃度の単位(parts per million, 10,000,000の1)のことではないですか。
まず、メリクロン培養のことを簡単に説明します。メリクロンと言う言葉は、英語の meristem (茎頂)とclone (栄養系)の合成語で、種子からではない、植物体の茎頂(成長点)に由来する栄養繁殖体を指します。茎頂は未分化の分裂組織なので、それを取り出して人工的に培養すれば、植物体が形成されてきます。このようにして得られた植物体は親と同じ遺伝子型を持つことになります。もともと植物は、挿し木のように、栄養繁殖させやすいのですが、茎頂分裂組織から個体を分化させるほうが、ウイルスなどに感染していない苗を得ることができます。そのような目的で、園芸業者や栽培業者はラン(特にシンビジュウム)、キク、カーネーション、ジャガイモ、ダリア等その他多くの植物で実際にメリクロン培養を行っています。ところで培養の方法ですが、確かに固体培養と液体培養の二つの方があります。一般に植物の組織培養にはどちらを使うのが良いかは植物の種類、目的によって一概に決められません。液体培養用の培地は、ただ単に固体培養用の培地から寒天などの固化材を抜いただけのものではありません。また、固体培養はふつう静地培養ですが、液体培養は震盪培養するのがふつうです。実際にメリクロン培養を行っている園芸家などに聞いてみれば分かるのかもしれませんが、栽培業者はいかに大量に効率良く、低コストで苗を生産することができるかを常に問題にするはずです。もし、固体培地を使っているならば、そちらの方が経済性が高いとか、液体培地ではうまく苗ができないということがあるのでしょう。ちなみに、よくカビが生えるかどうかは操作上の問題で、滅菌がきちんとおこなわれていれば大丈夫のはずです。質問中のppmというのは分かりかねますが、濃度の単位(parts per million, 10,000,000の1)のことではないですか。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-05-18
勝見 允行
回答日:2007-05-18