おき　さん：

日本植物生理学会　みんなの広場　質問コーナーのご利用ありがとうございます。「スポーツドリンクを水の代わりに植物に与えたらどうなるか」というご質問は登録番号1266の質問と同じで、それをご覧下さいと書こうと思ったのですが、その答えは中学生には少し難しいかなと思いましたので、もう少し分かりやすくお答えします。でも、登録番号1266は一度読んでみて下さい。
ふつうの観葉植物といえば、鉢植えの植物ですね。土に植わっています。ふつうの培養土の中には、植物の生育に必要な栄養分（13種ほどの元素）が含まれていますが、長い間やたくさんの植物を同じ培養土で、水だけを与えて培養すると、必要な栄養分が足りなくなってきます。植物は、特にチッソ、リン酸、カリウムをたくさん必要としますので、それらの消費が激しく、外から与える肥料にはこの三種が主要なものです（三大肥料）。中程度量を必要とするものにマグネシウム、マンガン、カルシウム、イオウなどがあります。その他は微量元素といって、ごくわずかの量だけあればよいので、ふつうは外から無理に与えなくても土の中に含まれるものや三大肥料の中に不純物として含まれるもので十分です。
スポーツドリンクの正確な成分は分かりませんが、表記されている成分として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあり、このうちナトリウム以外の３種元素はどれも植物の生育に必要なものです。また、その濃度も十分なようです。その他に、有機酸や糖類が少し含まれていますが「飲みやすく」することと、多少の「健康効果」を期待しているかもしれません。そこで、植物の肥料という点から見ると、スポーツドリンクは必要成分を３種しか含んでいませんので、水みたいなものと考えてもよいかもしれません。つまり、鉢植えの植物に与えても、直ぐには悪い効果もよい効果も出ないでしょう、というのがお答えになります。ナトリウムは濃度が高いと植物の生育に悪い効果がありますが、あるスポーツドリンクに含まれている（と書いてある）濃度から計算すると、有害なほどの濃度ではないようです。肥料液でも水の代わりに毎日毎日与えると、栄養分が貯まってしまって悪い効果が出るのと同じで、スポーツドリンクも水代わりに毎日与えると生育が抑えられたり、枯れたりすることは十分考えられます。