一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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深根性に密接な要因は?

質問者:   大学院生   山田
登録番号1279   登録日:2007-05-23
いつも参考にさせて頂いております。質問させて下さい。

草本でも木本でも深根性を示す植物がありますが、それらの根には何らかの共通点は見られるのでしょうか?
樹木は糖を使って根を伸ばすとどこかで聞いた覚えがあるのですが、それが草本でも一般的なことなのかよく分かりませんし、あるいはホルモンの影響が大きいのだろうかとも考えています。

現在知られている深根性のメカニズム(特に草本植物)についてご教授頂ければと思います。どうぞ宜しくお願いします。
山田 様

本コーナーに関心をお持ち下さりありがとうございます。
ご質問には、岡山大学資源生物科学研究所・分子生理機能解析グループの且原真木先生が回答を寄せて下さいました。

(且原先生の回答)

ご質問の「深根性」は一般的に使われている用語ではありませんが、指し示す内容は理解できます。植物の根系は、植物種ごとに遺伝的に決まった本来の形があります(朝倉書店「根の事典」)。これとオーバーラップしますが、「根系の理想型」という概念もあります(博友社「植物根系の理想型」)。こちらは特に作物をイメージして最適な生育を支える根系、という面があります。実際に植物が生育している現場では、根系の形と伸長は環境に非常に強く影響されて、さまざまになります(「根の事典」による)。人間の性格と同じで、根の形態(この場合、伸びる方向と長さ)には遺伝要因と環境要因が両方効いているということですが、それではあまりに結論がおおまかにすぎますよね。乾燥地では、地下深いところにある水を求めて深い根を伸ばす植物が知られています。その分子メカニズムに植物ホルモンが係わっているかもしれませんが、詳細はまだ解明されていないと思います。

且原 真木(岡山大学資源生物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-06-02
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