一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物の炭素固定について

質問者:   その他   松田
登録番号0130   登録日:2004-09-27
先日、バイオマスに関する本を読んでおりましたら、生物由来の資源(植物)はカーボンニュートラル(炭素中立)であり燃焼させても、堆肥として微生物に分解させてもその植物が固定していた二酸化炭素(炭素)が放出されるだけで、植物に固定されていた炭素の量と放出された炭素(二酸化炭素など)はプラスマイナスゼロで、生物資源を計画的にエネルギー利用すれば温暖化どころか、化石燃料の使用に比べて温暖化への影響はすくないということだったのですが、本当に植物の炭素固定量と、燃焼後もしくは堆肥として分解された後の炭素収支はゼロなのでしょうか。

また、フィトクロームとは何でしょうか。

教えて下さい。お願いします。
松田さま

 植物が光合成によって固定した炭素は、植物自身の呼吸と、植物の体をつくりあげる材料として使われます。植物の体の構成物は、死後、分解者(菌類や微生物)によって分解されます。したがって、植物の一生を通じた炭素の収支はバランスが取れています。地球規模でみた場合、光合成による二酸化炭素の固定量は、植物・動物の呼吸による二酸化炭素の放出量と、植物・動物の死骸の分解による二酸化炭素の放出量との合計とバランスしていました。 近年、人間が化石燃料を消費することによる二酸化炭素の放出が加わり、大気中の二酸化炭素濃度が上昇しています。ただし、エネルギー源として生物資源(植物)を利用する場合でも、利用の仕方によっては(たとえば短期間での森林の大量伐採)、地球規模の二酸化炭素の固定量・放出量のバランスを崩すことになります。
(参考書:「はじめてのえころじい」藤井宏一編著、裳華房、1995)

 フィトクロムは、緑色植物が外界の光環境を知るために使っている、植物特有の光受容物質です(人間の視覚において働くロドプシンに対応するようなタンパク質です)。種子や胞子の発芽、茎や葉の成長様式、花芽の形成など、さまざまな反応の調節に関わっています。
(参考書:「植物は何を見ているか」古谷雅樹著、岩波ジュニア新書、2002)
大阪大学
 高木 慎吾
回答日:2008-07-10
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