一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹木が1日の間に放出する酸素量と二酸化炭素量は?

質問者:   会社員   たかはし
登録番号0131   登録日:2004-09-27
先日、植物は光合成で二酸化炭素を取り込んで、酸素を放出しているだけでなく、我々と同じ酸素を吸って二酸化炭素を放出する呼吸もおこなっていると知りました。
光のある昼間だけの酸素放出量と一日中の二酸化炭素放出量は相殺しないのでしょうか?

家のすぐそばに神社の小さな森があるのですが、たとえば一般にみられる常緑の広葉樹の場合どのような比になるのでしょうか?
たかはし様

お書きになっているように、植物では光合成反応だけではなく呼吸も行われております。
「樹木が1日の間に放出する酸素量と二酸化炭素量の差」についてですが、この差は一日の総光合成量と総呼吸量との差であると言えます。
この差がプラスのときには、稼いだ分は樹木の成長に使われます。
ですから、新しい葉を出したり、枝を延ばしている木では、光合成量と呼吸量の差は相殺されず、プラスであると見なすことができます。
ただ、乾燥や低温、病気などのストレスを受けている場合には、光合成量と呼吸量の差は相殺されたり、マイナスになる場合もあります。

お近くの神社にある常緑広葉樹はどのような樹種かはわかりませんが、大隅半島の照葉樹林での測定例では1年の呼吸量/1年の総光合成量の比は72%程度でした。
(参考 群落の機能と生産 岩城英夫編 p. 251 朝倉書店)

以上でご質問の回答になっているでしょうか?
また何か疑問点などございましたら、ご質問ください。
大阪大学
野口 航
回答日:2008-07-10
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