一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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酸素を多くつくる植物は、ありますか?

質問者:   一般   まあみ
登録番号1320   登録日:2007-06-24
こんにちは。
アパートの共用部分で植物を植えようと思っています。
どうせ植えるなら地球温暖化対策として酸素を多くつくる植物にしようと思い、インターネットで調べてみると「ケナフ」という植物がよいらしいということが解りました。
他にも植物の種類がないかどうか調べてみたのですが、ケナフ以外にみつかりませんでした。
酸素を多くつくる植物が他にありましたら、教えてください。
ただし、アパートの共用部分になりますので、大きな木は植えられません。
解答よろしくお願いします。
まあみ 様

質問をお寄せ下さりありがとうございます。
地球温暖化対策として“酸素を多くつくる植物”を選びたいとのことですね。ご存知のように、酸素は植物が光合成と呼ばれる生理作用を営む際に、その副産物として発生します。酸素を発生すると言うことは、同時に、地球温暖化の原因となる物質の一つである二酸化炭素を吸収することでもあります。言うまでもなく、光合成によって植物は有機化合物を合成し、成長します。ところで、大気中の酸素や二酸化炭素の出入りは肉眼で直接見ることが出来ませんが、有機化合物の合成は植物体の成長として容易に判ります。すなわち、“酸素を多くつくる植物”とは、大まかに言えば、“良く成長する植物”と考えて良いでしょう。本コーナーでは、最近、光合成の仕組みの視点から、この問題を取り扱っております。登録番号1315番ですので、是非、その項目をご参考にして下さい。

ただ、良く成長する植物が選べたとしても、地球温暖化の視点からは、次のような問題が残っています。すなわち、成長した植物体(あるいは落ち葉)を、その後どのように取り扱うかと言うことです。成長の終わった植物体をゴミや燃料として何処かで燃やすとすれば、今度は、大気中の酸素を消費し、大気中に二酸化炭素を放出することになります。

ケナフは成長速度が早い(酸素発生能力が高い)植物の一つです。パルプの代替原料としての利用価値があるようですので、地球規模での環境の問題を考えた場合には興味ある植物です。貴方の場合には、アパートの共用部分と言う立地条件や景観のこともあるでしょうから、園芸家さんと相談して良い植物を選んで下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-06-29