一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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光と茎長の成長の関係性

質問者:   大学生   生物学の知識が全くない大学生
登録番号1324   登録日:2007-06-28
ある授業で「マスタードシード」を明所と暗所でそれぞれ対照栽培したところ、植物は光の当たる明所の方がより成長するはずだから茎だって長くなるに決まっているのになぁ…と考えていましたが、予想に反して暗所の茎長の方が長いという結果になりました。これはなぜですか?できるだけ詳しく分かりやすく教えて下さい。お願いします。
本コーナーに質問をありがとうございました。

マスタードの種子を播いて、明所と暗所で育てたところ、暗所の方が茎の長さが長かったとのことですね。そもそも、この実験の目的は何であったのでしょうか。そして、何故「光の当たる明所の方がより生長するはずだから茎だって長くなるに決まっているのになぁ」と考えられたのでしょうか。推測するに、「植物の生長には光合成が必要で、光合成のためには光が必要なので、明所での栽培では背丈の高い植物が育つ」と考えられたものと思います。ともかく、実験の結果は、貴方の考えが必ずしも正しくないことを示したわけですね。実験の詳細について言えば、“暗所”とはどんな光条件であったのかが気にかかります。また、“暗所”で育った植物と明所で育った植物の、体長以外の点での違いはどんな具合だったかも気になります。

一般に、植物では、種子の発芽や形態形成のいろいろな段階が、光合成による生長とは別に、光によって制御されます。これらの光制御においては、光の質(波長)と量(強度)が問題になります。関与する色素の問題が背景にあると考えて下さい。一般的な傾向としては、光が弱いときには植物は徒長して光源に近づこうとします。貴方が観察された「暗所の茎長の方が長い」との結果は、このような光制御に係わっていることのように思えます。是非、今少し植物の生長と光との関係についての知識を増やされ、照射する光の波長や強さについて配慮した実験をしてみられることをおすすめします。本質問コーナーの登録番号1244のQ/Aがこの問題に関係しておりますので、ご参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-07-02
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