一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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アルコールと植物の生長

質問者:   高校生   たね
登録番号1338   登録日:2007-07-11
エタノール水溶液を水のかわりに植物に与えるとどうなるか試してみたいと思っていますが、何%ぐらいの濃度で植物の生長が阻害されるのか、すでに実験などでわかっていれば教えてください。また長期間、球根の根や芽を発生させない実験もしたいのですが、根や芽の発生にはどんな植物ホルモンが作用しているのか教えてください。また実験方法のアドバイスをお願いします。
たね様

みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡と申します。実験ですから、濃度を調べるところから始めましょう。初めから濃度を細かく分けると大変ですので、10分の1、100分の1、1,000分の1、10,000分の1というように10倍、10倍と薄めて実験してみましょう。ある濃度で効いて、その10分の1の濃度では効かなかったら、効かなかった濃度の3倍の濃度を試して下さい。2倍や5倍でなく3倍を試すのは、ある物質に対する植物の反応は、物質の濃度の対数に比例することが多いからです(対数をもう習っていると良いのですが)。同じ植物でも発芽の時に処理するのと、たねから出て来た根に処理するのとでは、効く濃度が違いますので、いろいろな材料で試して下さい。またエタノールについて、成長を“阻害”する濃度が知りたいというように、実験をする前から“阻害”するものと決めつけて実験しようとしていますが、そのように決めつけて実験をすると、予想していなかった大発見を見落とすことがあります。実験をする際には、結果を決めつけないことが大切です。球根からの根や芽の成長(発生という言葉を使っておられますが発生ではなくて成長です)に関係している植物ホルモンはジベレリンとアブシジン酸です。春に花を咲かす植物の球根は冬の間、成長を止めています。これを休眠と呼んでいます。休眠はアブシジン酸の働によるもので、冬の間に低温を経験すると、アブシジン酸が減り、成長を促すジベレリンが増えて来て、芽や根が伸びられるようになります。こんなことをもとに、実験を計画してみましょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-07-17
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