質問者:
小学生
翔太郎
登録番号1345
登録日:2007-07-18
ぼくは、近所のナンキンハゼについて、雄花と雌花の咲く順序が木によってちがう所がおもしろいと思って調べています。今年は、花にふくろをつけて、人工的に受粉させる花粉をいろいろ変えたらどうなるかを調べたいと思ってやっています。みんなのひろば
ナンキンハゼの受粉について
でも、雄花の房から花粉をとりだすことができないで困っています。花粉が入っていそうなつぶつぶ(直径が1ミリよりもっと小さい)はありますが、中から花粉を取り出そうとすると、つぶれてしまうし、そのつぶつぶのままだと受粉しませんでした。どうやったら、花粉を取り出す事ができますか。毎日雨の日が続いて乾く間がないのも関係あるでしょうか。
翔太郎君
みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を花粉の専門家の横浜市大の中村紀雄先生にお願いいたしましたところ、以下のような回答をお寄せ下さいました。先生が教えて下さった方法をいろいろと試してみて下さい。またもし、それでもうまく行かなかったら、また、みんなの広場に質問して来て下さい。また中村先生に伺ってみます。
中村紀雄先生の回答:
小さな花から花粉を集めることは,とくに,ある程度の量の花粉を集めるとなると,なかなかやっかいです.私達が使っている方法を参考にしてみて下さい.
1.枝から雄花の房を切り取り,部屋に持ち帰り,コップなどにさして開花をまちます.開花し,できるだけ多くのおしべが花粉を出したら(開葯したら),房を取り出し,房を表面の平らな,静電気のおきにくい紙(コピー用紙などで可)に軽く数回叩き付け,花粉をおとします(花粉以外のものも落ちます).このとき,紙に水滴などが落ちていると花粉をダメにしてしまいます.水滴を落とさぬように房についている水は完全に拭き取ってから,花粉を落とす操作をして下さい.そして,紙に落ちたものを集めて篩(0.1mmメッシュ)にかけ,篩の目を通り落ちた花粉だけを集めます.雄花の房は再度水にさして次の開花をまちます.紙の上の花粉を集めるには,筆などで掃き集めるよりも,カバーグラスの縁を使って,こすり集める方が効率的です.篩がない場合,花粉がついた紙を斜にして軽くゆするだけで,大きなものは転げおち,動かずに紙に残った花粉だけを集めることができる場合があります.
2.あるいは,先の尖ったピンセットを使って,個々の花(開花1日前あたりの蕾)から葯だけを(つまみ),とり出します.できるだけ多くの葯を篩に集めます.篩ごと30-35℃の恒温器(乾燥器)の中に入れ,約24時間放置して乾燥させ,開葯させます.花粉が出た葯を筆(絵の具筆等)でなすって花粉だけを篩の下に落とし,花粉を集めます.
恒温器がないときは,日光の下に置いたり,白熱電球の下に置いておくなどの高温,低湿度をつくる工夫をすれば良いでしょう(開葯すれば良い).
3.上に述べたようにしても,どうしても花粉を量的に十分集められない場合で,受粉を行ないたいときは,開花し開葯している花をピンセットで取り出し,それを開花している花の雌しべに押し付けて受粉させます.花が小さいと大変手間がかかりますが,...
また,ボンテン(耳の掃除に使う綿毛球のついた棒)の房球で開花した雄花をはたいて花粉をそれに移し取り,それで雌しべをたたいて花粉をつける方法も試してみてはどうでしょう.
中村 紀雄(横浜市大)
みんなの広場へのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を花粉の専門家の横浜市大の中村紀雄先生にお願いいたしましたところ、以下のような回答をお寄せ下さいました。先生が教えて下さった方法をいろいろと試してみて下さい。またもし、それでもうまく行かなかったら、また、みんなの広場に質問して来て下さい。また中村先生に伺ってみます。
中村紀雄先生の回答:
小さな花から花粉を集めることは,とくに,ある程度の量の花粉を集めるとなると,なかなかやっかいです.私達が使っている方法を参考にしてみて下さい.
1.枝から雄花の房を切り取り,部屋に持ち帰り,コップなどにさして開花をまちます.開花し,できるだけ多くのおしべが花粉を出したら(開葯したら),房を取り出し,房を表面の平らな,静電気のおきにくい紙(コピー用紙などで可)に軽く数回叩き付け,花粉をおとします(花粉以外のものも落ちます).このとき,紙に水滴などが落ちていると花粉をダメにしてしまいます.水滴を落とさぬように房についている水は完全に拭き取ってから,花粉を落とす操作をして下さい.そして,紙に落ちたものを集めて篩(0.1mmメッシュ)にかけ,篩の目を通り落ちた花粉だけを集めます.雄花の房は再度水にさして次の開花をまちます.紙の上の花粉を集めるには,筆などで掃き集めるよりも,カバーグラスの縁を使って,こすり集める方が効率的です.篩がない場合,花粉がついた紙を斜にして軽くゆするだけで,大きなものは転げおち,動かずに紙に残った花粉だけを集めることができる場合があります.
2.あるいは,先の尖ったピンセットを使って,個々の花(開花1日前あたりの蕾)から葯だけを(つまみ),とり出します.できるだけ多くの葯を篩に集めます.篩ごと30-35℃の恒温器(乾燥器)の中に入れ,約24時間放置して乾燥させ,開葯させます.花粉が出た葯を筆(絵の具筆等)でなすって花粉だけを篩の下に落とし,花粉を集めます.
恒温器がないときは,日光の下に置いたり,白熱電球の下に置いておくなどの高温,低湿度をつくる工夫をすれば良いでしょう(開葯すれば良い).
3.上に述べたようにしても,どうしても花粉を量的に十分集められない場合で,受粉を行ないたいときは,開花し開葯している花をピンセットで取り出し,それを開花している花の雌しべに押し付けて受粉させます.花が小さいと大変手間がかかりますが,...
また,ボンテン(耳の掃除に使う綿毛球のついた棒)の房球で開花した雄花をはたいて花粉をそれに移し取り,それで雌しべをたたいて花粉をつける方法も試してみてはどうでしょう.
中村 紀雄(横浜市大)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-07-26
柴岡 弘郎
回答日:2007-07-26