質問者:
小学生
りなりな
登録番号1347
登録日:2007-07-21
夏休みの自由研究で、風船蔓を育てています。今、風船が1.5センチほどに膨らんだ状態です。娘が不思議がっていることを質問させていただきます。みんなのひろば
風船蔓で不思議なこと
①どうして、下から20センチメートルくらいまでの花には風船ができないのですか?
②小さなアリが好んで風船蔓を行ったり来たりしています。アリは何の目的で風船蔓に登るのでしょうか?アリの行動は受粉に役立っていますか?
③風船蔓は、他の植物と違って子葉はが土から出てきたときには、本葉が間にはさまっているのですが、何か理由はありますか?
④風船蔓の実の中が3つの部屋に分かれているのはどうしてですか?
⑤とてもおしゃれな種ですが、あの白いハートの部分は何の役目をしているのですか?芽は種のどの部分からでてくるのですか?
以上よろしくお願いいたします。
りなりな様
ご質問ありがとうございます。子供のときから自分で植物を育てたりして、自然と親しむのいいことですね。植物を育てることは、観察力を養うよい機会でもあります。ところで、フウセンカズラはもう風船ができているようですが、お子さんは夏休みの宿題をみこんで、早くから種をまき、準備されたようですね。
ふつう播種してから花が咲くまで2か月以上はかかりますので、その間ずっとするどい観察の眼を向けていたことはすばらしいことです。
①どうして、下から20センチメートルくらいまでの花には風船ができないのですか?
[回答]フウセンは果実ですから花で受粉がおこり、受精が完了して、果実の成長が進まなくてはなりません。したがって、全ての花で果実が出来るとはかぎりません。フウセンカズラの結実についての研究があるかどうかしりませんが、下の方の花が結実しなかった理由は分かりません。早い花は不稔だということが遺伝的に決まっているのかもしれませんが、そう決めつけるには、少なくとも、沢山育てても全部の個体が同じであることが必要でしょう。また、早い花は、たとえば、雄しべの成熟が不完全なため花粉ができないなどの理由があるのかもしれませんし、温度などの外的要因のために受粉が起らなかったのかもしれません。これらのことは調べてみないとわかりません。いまから播種して育てる個体もやはり下の方の花は結実しないのでしょうか。また、その花の形態は上位の花と比べて、変わった所があるでしょうか。時期をずらして何本か育て、20cm以下の花に、それより上位のはから花粉をとって人工授粉させてみてはどうでしょうか。色々調べてみて下さい。
②小さなアリが好んで風船蔓を行ったり来たりしています。アリは何の目的で風船蔓に登るのでしょうか?アリの行動は受粉に役立っていますか?
[回答]本当のことはアリに聞いてみないと分かりませんが、アリは目的もなくただ闇雲に歩き回ることはしないと思います。植物に這い登る場合、蜜等の食料をもとめてそうすることもあります。もし、花に入り込んでいるなら、蜜を求めているのかもれません。アリがふウセンカズラの上を這っているいるのを見たら、じっくり時間をかけてその挙動を観察すれば、答えがでるでしょう。ファーブルのように、時には食事を忘れて観察することも必要です。因に、フウセンカズラの花は虫媒花のようです。アリが受粉に役立っているかどうかは、花に入ったアリが身体に花粉をつけて出てくるかどうかをみれば、予想出来るのではないでしょうか。
③風船蔓は、他の植物と違って子葉はが土から出てきたときには、本葉が間にはさまっているのですが、何か理由はありますか?
[回答]特別に理由はないとおもいます。また、珍しいことでもありません。インゲンやヒマの芽生えも同じです。
④風船蔓の実の中が3つの部屋に分かれているのはどうしてですか?
[回答]雌しべは花粉が付く柱頭とその下の柱状の花柱と一番下が子房と呼ばれる部分からできています。子房の外側は心皮という組織で、中に胚珠があり、ここで卵細胞がけいせいされて受精はここで起ります。受精卵は胚を形成して、胚珠が大きくなって種子ができます。子房に部屋が三つあるということは、その花は子房が三つの心皮によって仕切られているからです。胚珠はそれぞれの部屋にできて、三つの種子が形成されることになります。植物の種類によって心皮の数、そのつながり方はさまざまです。
⑤とてもおしゃれな種ですが、あの白いハートの部分は何の役目をしているのですか?芽は種のどの部分からでてくるのですか?
[回答]白いハートの部分は臍といいます。種子が発達するとき、胚珠が心皮の胎座と呼ばれる部分にくっついていますが、その跡です。赤ちゃんが臍の緒で母体と繋がって栄養を貰っていたのと同様に胚珠も胎座を通して母体から種子形成に必要な栄養分をもらっていたのです。ハートの形には意味はありません。因にフウセンカズラの学名はCardiosperimum hakicacabun といいますが、属名はkarrdia (心臓)sperma(種子);種名はホオズキのようなという意味です。ハートの形には目鼻口をいれて、お猿さんにみたてる人もいるようですね。
ご質問ありがとうございます。子供のときから自分で植物を育てたりして、自然と親しむのいいことですね。植物を育てることは、観察力を養うよい機会でもあります。ところで、フウセンカズラはもう風船ができているようですが、お子さんは夏休みの宿題をみこんで、早くから種をまき、準備されたようですね。
ふつう播種してから花が咲くまで2か月以上はかかりますので、その間ずっとするどい観察の眼を向けていたことはすばらしいことです。
①どうして、下から20センチメートルくらいまでの花には風船ができないのですか?
[回答]フウセンは果実ですから花で受粉がおこり、受精が完了して、果実の成長が進まなくてはなりません。したがって、全ての花で果実が出来るとはかぎりません。フウセンカズラの結実についての研究があるかどうかしりませんが、下の方の花が結実しなかった理由は分かりません。早い花は不稔だということが遺伝的に決まっているのかもしれませんが、そう決めつけるには、少なくとも、沢山育てても全部の個体が同じであることが必要でしょう。また、早い花は、たとえば、雄しべの成熟が不完全なため花粉ができないなどの理由があるのかもしれませんし、温度などの外的要因のために受粉が起らなかったのかもしれません。これらのことは調べてみないとわかりません。いまから播種して育てる個体もやはり下の方の花は結実しないのでしょうか。また、その花の形態は上位の花と比べて、変わった所があるでしょうか。時期をずらして何本か育て、20cm以下の花に、それより上位のはから花粉をとって人工授粉させてみてはどうでしょうか。色々調べてみて下さい。
②小さなアリが好んで風船蔓を行ったり来たりしています。アリは何の目的で風船蔓に登るのでしょうか?アリの行動は受粉に役立っていますか?
[回答]本当のことはアリに聞いてみないと分かりませんが、アリは目的もなくただ闇雲に歩き回ることはしないと思います。植物に這い登る場合、蜜等の食料をもとめてそうすることもあります。もし、花に入り込んでいるなら、蜜を求めているのかもれません。アリがふウセンカズラの上を這っているいるのを見たら、じっくり時間をかけてその挙動を観察すれば、答えがでるでしょう。ファーブルのように、時には食事を忘れて観察することも必要です。因に、フウセンカズラの花は虫媒花のようです。アリが受粉に役立っているかどうかは、花に入ったアリが身体に花粉をつけて出てくるかどうかをみれば、予想出来るのではないでしょうか。
③風船蔓は、他の植物と違って子葉はが土から出てきたときには、本葉が間にはさまっているのですが、何か理由はありますか?
[回答]特別に理由はないとおもいます。また、珍しいことでもありません。インゲンやヒマの芽生えも同じです。
④風船蔓の実の中が3つの部屋に分かれているのはどうしてですか?
[回答]雌しべは花粉が付く柱頭とその下の柱状の花柱と一番下が子房と呼ばれる部分からできています。子房の外側は心皮という組織で、中に胚珠があり、ここで卵細胞がけいせいされて受精はここで起ります。受精卵は胚を形成して、胚珠が大きくなって種子ができます。子房に部屋が三つあるということは、その花は子房が三つの心皮によって仕切られているからです。胚珠はそれぞれの部屋にできて、三つの種子が形成されることになります。植物の種類によって心皮の数、そのつながり方はさまざまです。
⑤とてもおしゃれな種ですが、あの白いハートの部分は何の役目をしているのですか?芽は種のどの部分からでてくるのですか?
[回答]白いハートの部分は臍といいます。種子が発達するとき、胚珠が心皮の胎座と呼ばれる部分にくっついていますが、その跡です。赤ちゃんが臍の緒で母体と繋がって栄養を貰っていたのと同様に胚珠も胎座を通して母体から種子形成に必要な栄養分をもらっていたのです。ハートの形には意味はありません。因にフウセンカズラの学名はCardiosperimum hakicacabun といいますが、属名はkarrdia (心臓)sperma(種子);種名はホオズキのようなという意味です。ハートの形には目鼻口をいれて、お猿さんにみたてる人もいるようですね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-07-26
勝見 允行
回答日:2007-07-26