一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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身近な植物で染色実験について

質問者:   自営業   小6母
登録番号1362   登録日:2007-07-31
はじめまして。宜しくお願い致します。
娘が自由研究で「身近な植物での染色実験」をしてみたいと言ってます。

小さい頃によく朝顔や露草の花をつぶして色水を作り、その水でハンカチに色をつけたりして遊んだことがありますが、本などで調べると鍋で煮出して媒染剤を使うと書いてあります。
やはり、煮出して媒染剤を使わないとだめでしょうか?

あまり大掛かりな実験はできないと思いますし、何種類も試してみるとなるとちょっと大変かなあ、とも考えてしまいます。
どのような形で進めていけばいいのか、アドバイスを頂けますでしょうか?
質問があまり具体的なものでなくて申し訳ありません。
小6母 さま

化学合成染料が19世紀末に開発されるまで、植物色素が染料の主役であり、現在でも草木染としてその独自の色合いが楽しまれています。植物に最も多く含まれ、光合成に欠かすことのできない緑の色素、クロロフィルは水に溶けないこと、葉の中では緑を保っていても、葉から取り出されたクロロフィルは光によって酸化されやすく退色しやすいため、利用されていません。これまで用いられているのは主に水溶性の色素で、これまで本質問コーナーに、アジサイ(登録番号0961)、アサガオ(登録番号0113, 登録番号0358, 登録番号0971), ベゴニア(登録番号0918), サクラ(登録番号1044)の花の色素、アカシソの葉の色素(登録番号1178)についての解説がありますので参考にしてください。これらの解説にありますように、水に溶ける色素は細胞中で、酸性の液胞に主として分布していますが、これらの植物組織をすりつぶす時の水の酸性度(pH)が重要であり(登録番号0779)、これによって色素の色、安定性も変わります。これについては、ほんの最近、登録番号1354の回答にアサガオについてわかりやすく、実験の方法を含めて記されていますのでご覧下さい。

植物色素に限らず合成染料でも布を染めるとき、布を染色した後に金属塩(媒染剤:鉄、アルミニウム、錫など)に浸すと(またはその逆)、色素が金属イオンと結合し、布に色素が強く結合します。植物の細胞の中で花の色素が多様な変化を示すのはpHと共にその中に含まれている金属イオンの種類にもよります。例えば、登録番号1354に対する回答の、画用紙の代わりに、明礬の薄い液、または、鉄片を酢で溶かした液に浸して乾燥した布(または画用紙)を用いてテストすれば、アルミニウム、または、鉄によってアサガオの色素がどのような色調になるか、染色性がどうなるかなど、を調べることができるでしょう。これはアサガオについてどのような結果になるかわかりませんが、新しいことにチャレンジして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2012-08-25
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