一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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風船蔓の実の出来方について

質問者:   小学生   りなりな
登録番号1364   登録日:2007-08-02
りなりなの母です。お世話になります。

1)先日、地面に近い花(30cm)くらいまでのものには実ができないといった内容の質問をさせていただきました。アドバイスいただいた通り、幸いまだ花が咲いていましたので、4つの下部の花に、上部にある花の花粉をつけたところ、4つのうち1つですが実が確認できました。やはり、受粉しなかったことを原因として確定してよいでしょうか?
娘は①雨の時季に花が咲いたので虫が来なかったこと、花粉がしめってだめになった。②下の方なので蝶が気が付かなかったと予想していました。

2)小さなアリが風船蔓を行き来していました。よく観察したところ、花のまわりや中を歩きまわったり、しばらく花びらの間の体をつっこんで静止したりしていました。アリ・花ともに小さいので、虫めがねを使っても足やはらに花粉を確認することはできませんでしたが、アリも、蜜をもとめて花にやってきて、更に受粉に貢献しているということでよいのでしょうか?

3)風船蔓に来る昆虫ということで、観察しました。大きな蝶は見向きもせずにとんでいってしまうのですが、しじみちょう・みつばち・アブの仲間(?)は7月半ばからよく見かけるようになりました。また、何度追い払っても全長1cmくらいのクモがたかっていました。クモの仲間で風船蔓を好む種類なんかありますか?花の色、大きさによって昆虫にも好みはあるのでしょうか?よく、蝶は好みの色があるとききますが、本当ですか?
りなりな さん

質問(登録番号1364)のお答えします。
フウセンカズラの観察をつづけておられるようですね。色々なことが分かり、そして、また、新しい疑問が湧いてくる。素晴らしいことです。科学の営みの 基本はそこにあります。

1) 実験ができてよかったですね。下部の花が結実しなかったのは、やはり、受粉の機会がなかったからなのでしょう。フウセンカズラの花の寿命は何日くらいかしりませんが、最初に観察された時は、娘さんの考えたように、虫がこなかったからでしょう。何故こなかったかは、もし雨がつづいていたり、気温が低かったりしたら、虫も出かけるのが嫌だったのでしょう。あるいは、訪れたとしても、下の方なので気付かなかったのかもしれません。いずれにしても、結実は原則として受粉がないとおきません。

2) 私は想像するしかありませんが、アリの動きが観察されたようなら、受粉ににも貢献しているようにおもわれます。花の中に出入りしているアリを一匹捕まえて、できたら眠らせて、明るい所でじっくり観察したら、花粉がついているかどうか分かるかもしれません。

3) クモが花の蜜を吸いにくるかどうかはしりません。クモがいるのは、フウセンカズラを訪れる昆虫を捕獲する他目じゃないでしょうか。いずれネットをはって虫どもが引っかかるのを待つにかもしれませんね。昆虫が花の色(パターン)を識別するのは確かなようです。実際に見える色よりは、ヒトにはみえない紫外線で見える色のパターンを識別していることが分かっています。このことは質問コーナー登録番号0403の回答を参照して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2007-08-06
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