質問者:
会社員
ハンティング・ビルバック
登録番号1369
登録日:2007-08-03
仕事柄、芝の生理に関心があるので、よろしくお願いします。みんなのひろば
糖は葉から吸収するのですか?
植物は光合成によって糖を生成し植物体内で様々なエネルギー源として利用していますが、日照不足の梅雨時や呼吸量が増加する真夏に、不足分の糖を補給してやる場合、市販の糖資材もしくは砂糖や廃糖蜜などを溶かしたものを希釈して散布したいと思っています。
しかし、本当に散布した糖が植物に吸収されているかどうかが判りません。
吸収する場合、どういったメカニズムで吸収されているのか、教えて頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
ハンティング・ビルバック 様
糖を補給して芝を元気にしてやろうと言うわけですね。ご質問には岡山大学大学院自然科学研究科で植物栄養生理学を専門とされている笹川英夫先生から回答をいただきました。ご参考にして下さい。なお、どの程度に効果的か、どのような問題があるかについて知るために、小規模で実験して見られることをおすすめします。
植物は葉から糖を容易に吸収することができます。特に単糖(ブドウ糖など)やジオース(蔗糖など単糖が2分子連なったもの)などは,細胞膜に存在する糖のトランスポーター(輸送体タンパク質)によって細胞内に積極的に取り込まれます。脱分化した細胞の固まりであるカルスをご存じだと思います。カルスが蔗糖の入った寒天培地で増殖できるのは,トランスポーターの作用で糖を細胞内に取り込み,エネルギー源や細胞骨格を作る炭素源として利用するからです。
さらに植物はもう少し分子量の大きいオリゴ糖(単糖が数個から10個程度連なったもの)や多糖(オリゴ糖よりさらに分子量の大きいもの)も細胞内に取り込むことができます。それらは細胞膜に存在する原形質連絡と呼ばれる小孔を通して取り込まれます(分子量が数千程度のものは通すと言われている)。
以上のようなメカニズムによって葉面に散布された糖は植物体内に吸収され,成長に利用されることは間違いありません。ただし,糖は微生物(細菌やカビ)の絶好の栄養源であり,植物以上に積極的に利用して増殖します。微生物の中には植物に害を与えるものもたくさんいますので,市販の糖資材や砂糖,廃糖蜜を植物に葉面散布で与える場合は,細菌,カビの増殖を抑える抗菌剤や防カビ剤などを併用するなど,注意が必要でしょう。
笹川 英夫(岡山大学大学院自然科学研究科)
糖を補給して芝を元気にしてやろうと言うわけですね。ご質問には岡山大学大学院自然科学研究科で植物栄養生理学を専門とされている笹川英夫先生から回答をいただきました。ご参考にして下さい。なお、どの程度に効果的か、どのような問題があるかについて知るために、小規模で実験して見られることをおすすめします。
植物は葉から糖を容易に吸収することができます。特に単糖(ブドウ糖など)やジオース(蔗糖など単糖が2分子連なったもの)などは,細胞膜に存在する糖のトランスポーター(輸送体タンパク質)によって細胞内に積極的に取り込まれます。脱分化した細胞の固まりであるカルスをご存じだと思います。カルスが蔗糖の入った寒天培地で増殖できるのは,トランスポーターの作用で糖を細胞内に取り込み,エネルギー源や細胞骨格を作る炭素源として利用するからです。
さらに植物はもう少し分子量の大きいオリゴ糖(単糖が数個から10個程度連なったもの)や多糖(オリゴ糖よりさらに分子量の大きいもの)も細胞内に取り込むことができます。それらは細胞膜に存在する原形質連絡と呼ばれる小孔を通して取り込まれます(分子量が数千程度のものは通すと言われている)。
以上のようなメカニズムによって葉面に散布された糖は植物体内に吸収され,成長に利用されることは間違いありません。ただし,糖は微生物(細菌やカビ)の絶好の栄養源であり,植物以上に積極的に利用して増殖します。微生物の中には植物に害を与えるものもたくさんいますので,市販の糖資材や砂糖,廃糖蜜を植物に葉面散布で与える場合は,細菌,カビの増殖を抑える抗菌剤や防カビ剤などを併用するなど,注意が必要でしょう。
笹川 英夫(岡山大学大学院自然科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2007-08-10
佐藤 公行
回答日:2007-08-10