一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ねむの木について

質問者:   小学生   くるみるく
登録番号1381   登録日:2007-08-18
こんにちわ。
夏休みの自由研究でねむの木について調べています。
どうしてねむの木は夜になると葉が閉じるのですか?自分で暗くなったことが分かるのですか?
街灯が近くにある木は、夜でも葉が閉じていませんでした。どうしてですか?

よろしくお願いします。
くるみるく さん:

質問を有り難うございます。夏休みはいろいろと自然の生き物を観察するのにとてもよい時期ですね。
ネムノキは夜になると葉を閉じるので「眠の木」から名付けられと言われていますね。動かないと思われている植物でも実は盛んに運動をしているのです。ネムノキの葉が閉じるのも植物の運動の一つですが、他にも似たような運動をする植物がたくさんありますので、よく注意して観察してみて下さい。たとえば、カタバミの葉、マツバボタンの花はどんな運動をするでしょうか。
このような葉や花を昼間に開き、夜に閉じる運動を就眠運動と言い、光を感じて動くもの、温度を感じて動くものがあり、時にはそれが夜と昼に動く「くせ」になっているものがあります。街灯の近くにあるネムノキの葉が夜になっても閉じなかったのは、光を感じて運動しているからでしょう。朝になって明るくなるとネムノキは光を感じて開きますし、夕方に太陽が沈むと光が無くなったことを感じて葉を閉じるのです。すべての植物は光を感ずる装置をもっています。チューリップやクロッカスの花も同じように朝開き、夕方閉じますが、これらは光ではなく温度を感じて開閉しています。朝、太陽が昇って温度がある温度を超えると花を開きますが、夕方温度が下がると閉じます。そのため、チューリップの花を切り取って暖かい部屋の中におくと温度が下がらないので、夜になっても閉じることはありません。くるみるくさんはオジギソウを知っていますね。葉に触ると見ている間に葉を閉じますね。触るという機械的な刺激を感じて運動する植物もあります。ハエジゴクという食虫植物があります。
その葉の上で蠅など動いて刺激が2度続くと素早く本を閉じるように葉を閉じ、虫を捕まえます。多くのマメ類の葉は夜昼で開閉運動をしますが、それが「くせ」になっているものがあります。インゲンマメやダイズは二葉の時に、二葉を昼は開き、夜は閉じます。これは「くせ」になっているので、暗いところにおき続けてもしばらくの間は、朝方になると葉を開き、夕方になると閉じる運動を繰り返します。これは体の中に時計をもっていて、開閉のリズムを作っているからです。就眠運動は植物の身になって考えてみると有利なことが一つあります。植物は光合成をして生活していますので、光がどうしても必要です。昼間に葉を開くと太陽の光をたくさん集めることができますね。そのため光合成を活発に行うことができるからです。
この他に、窓際においた植物が明るい方に傾いて曲がるのも、キュウリの巻きひげやアサガオのつるが何かに巻きつくのも、みんな植物が何かを感じておこす運動です。
ネムノキに限らず、どんな植物がどんな運動をするのか観察してみませんか。最初にあげたカタバミの葉とマツバボタンの花は何を感じて開いたり、閉じたりするのか、いろいろ工夫して調べるのもとてもよい自由研究になりそうです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-08-21