質問者:
中学生
A-R-O .K
登録番号1388
登録日:2007-08-21
なぜ花粉管は柱頭でのびるのか。そして、なぜ方向を迷わずに卵細胞とあえるのか聞きたいです。方向を間違えて、また元の位置に戻って来るなんて事はないのでしょうか?是非とも聞きたいです!
みんなのひろば
なぜ花粉管はのびて、方向を間違えないのか?
A-R-O .K 様
みんなの広場へのご質問ありがとうございました。A-R-O .Kさんと同じように花粉管の先が卵細胞に向って伸びることに興味を持った人がいました。その人は、花粉管の先が胚珠(その中に卵細胞が入っています)に向って伸びるところを顕微鏡で観察しようとしました。でも、ご存知のように、胚珠は雌しべの中に入っているので、外から見ることはできません。そこで、胚珠を取り出し、花粉と一緒にシャーレの上で培養することを思い付きました。なかなか難しかったのですが、苦労の末、培養に成功しました。この成功により、新しい事実が次々と発見されました。まず、シャーレの上で発芽した花粉の花粉管は胚珠のそばを素通りしてしまい、胚珠の方には向いませんでした。そこで、花粉を雌しべの先端につけて発芽させた後、雌しべの先端を切り取って培養しました。シャーレの上で発芽した花粉管は胚珠のそばを素通りしたのですが、雌しべの切り口から伸びて来た花粉管は胚珠をめがけて伸びたのです。胚珠から花粉管を惹き付ける物質が出されているのだろうと考え、花粉管の先端が胚珠に近づいたところで、胚珠を右とか左にずらしてみました。花粉管の先端はずらした胚珠に向って曲がったのです。花粉管の先端が胚珠に向って伸びるのは胚珠が花粉管を惹き付ける物質を出しているからだということが分かりました。また、花粉管が胚珠の出す惹き付ける物質に感じるようになるためには雌しべの中を通らないとならないことも分かりました。惹き付ける物質については、引き続き研究が進められており、惹き付ける物質は植物毎に違う物質であること、この物質は卵細胞の横にある助細胞で作られること、ペプチド(小さなタンパク質)であることなどが明らかにされています。もっと詳しくお知りになりたければ、「植物の生存戦略」朝日選書(2007)のなかに、この研究をなさった東山哲也さんが「受精のメカニズムをとらえた!」という章を書かれておられますので、読んでみて下さい。
みんなの広場へのご質問ありがとうございました。A-R-O .Kさんと同じように花粉管の先が卵細胞に向って伸びることに興味を持った人がいました。その人は、花粉管の先が胚珠(その中に卵細胞が入っています)に向って伸びるところを顕微鏡で観察しようとしました。でも、ご存知のように、胚珠は雌しべの中に入っているので、外から見ることはできません。そこで、胚珠を取り出し、花粉と一緒にシャーレの上で培養することを思い付きました。なかなか難しかったのですが、苦労の末、培養に成功しました。この成功により、新しい事実が次々と発見されました。まず、シャーレの上で発芽した花粉の花粉管は胚珠のそばを素通りしてしまい、胚珠の方には向いませんでした。そこで、花粉を雌しべの先端につけて発芽させた後、雌しべの先端を切り取って培養しました。シャーレの上で発芽した花粉管は胚珠のそばを素通りしたのですが、雌しべの切り口から伸びて来た花粉管は胚珠をめがけて伸びたのです。胚珠から花粉管を惹き付ける物質が出されているのだろうと考え、花粉管の先端が胚珠に近づいたところで、胚珠を右とか左にずらしてみました。花粉管の先端はずらした胚珠に向って曲がったのです。花粉管の先端が胚珠に向って伸びるのは胚珠が花粉管を惹き付ける物質を出しているからだということが分かりました。また、花粉管が胚珠の出す惹き付ける物質に感じるようになるためには雌しべの中を通らないとならないことも分かりました。惹き付ける物質については、引き続き研究が進められており、惹き付ける物質は植物毎に違う物質であること、この物質は卵細胞の横にある助細胞で作られること、ペプチド(小さなタンパク質)であることなどが明らかにされています。もっと詳しくお知りになりたければ、「植物の生存戦略」朝日選書(2007)のなかに、この研究をなさった東山哲也さんが「受精のメカニズムをとらえた!」という章を書かれておられますので、読んでみて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-08-27
柴岡 弘郎
回答日:2007-08-27