一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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果物の変色について

質問者:   中学生   リク
登録番号1395   登録日:2007-08-23
果物の変色について自由研究をしています。
リンゴや桃などの果物の変色には、酵素が関係しているそうですが、ビタミンCを多く含む果物には変色しないものが多いと気づきました。これは、レモン汁をかけると変色を止められることと関係がありますか。それともビタミンCが多いみかんやキウイなどがたまたま、酵素をもっていない果物だったということなのでしょうか。
変色に関係する酵素をもっている果物(今、調べた変色する果物はリンゴ・桃・なし・アボガド・バナナです)にはどんなものがありますか。
教えてください。
リク さま

果物が熟する過程は、細胞の中にある液胞に含まれる多種類の酵素によって細胞成分が変化(分解)し、組織、細胞が柔らかくなるのが一般的です。デンプンが酵素によって加水分解を受け糖の濃度が高くなり、甘くなるのも果実では一般的です。このように酵素は種類が多くそれぞれの酵素は特殊な反応だけを進行させているので、果物を酵素のあるなしで分けることはできません。

ビタミンC(アスコルビン酸)は植物の細胞には必ず含まれ、活性酸素によって細胞が酸化され傷むのを抑えるために絶対に必要です。そのため、レモンにも含まれていますが、他の果実にも必ず含まれています。そのためビタミンCを多量に含むと果物は変色しないとの考えは少し無理な考え(仮説)です。市販のレモンは黄色でそれ以上余り色は変わりませんが、しかし、レモンの果実もミカン、バナナ、ナシ、リンゴなどと同じように、木の上で最初は葉緑体(クロロフィール)を含んでいるために緑色であり、木の上で成熟してそれぞれの成熟した色に変わります。

これらの果実の成熟は、果実の細胞で発生する植物ホルモンの一つであるエチレンで促進される場合が多く、果実の変色も促進されます。日本ではバナナは緑の果実の状態で輸入し、日本の港でエチレン処理をして、黄色の甘い、やわらかい状態に果実を人工熟成させてから販売されています。

果実の成熟、変色は、葉の組織が秋になって紅葉、黄葉になる過程と似たところがあります。特に、クロロフィールの緑が消失する点では共通しています。果実の変色については本質問コーナーで、紅葉を検索語として検索すれば、紅葉についての多くの解説がみられますが、これらを参考にして果実の変色の研究にさらにチャレンジして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2007-08-27
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