一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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色の不思議

質問者:   小学生   はるちゃん
登録番号1402   登録日:2007-08-25
夏の自由研究で花や野菜の汁を絞り、布にしみこませた後、石鹸水と酢と日本酒につけて色の変化をかんさつしました。酢に入れるとピンクに変わりました。石鹸ははじめは青くなったのに、乾くときいろになってしまいました。この変化をまとめられなくて困っています。
何で色が変わるのか、ヒントをください!
はるちゃん さま

植物の花の色は散るまで同じ黄色をしているヒマワリのような場合と、アジサイの花のように、咲いている間にも色が青や赤に変化する場合があります。アジサイのような花で、どうして色が変わっていくのかについて詳しく研究され、花弁の細胞のすっぱさの程度や金属イオンがその原因と考えられています。このように植物の色素はすっぱさによって色が変わる性質をもっているものがあります。

植物の汁を布にしみこませたときにどんな色であったか、わかりませんが、これを酢、日本酒、石鹸液につけたときの布の色がどうして変わったのでしょうか。酢は文字通りすっぱさの程度が高く、酢に浸すと布に吸着していた色素がピンク色になったとのことですから、この植物の汁に含まれていた色素は、すっぱさの程度の高い液の中ではピンク色になると考えてよいと思います。

酢に比べ石鹸液はすっぱさの程度が非常に低く、酢を酸性とよぶのに対しこれをアルカリ性とよんでいます。酸性は食べる時のすっぱさでいつも経験できますが、アルカリ性は石鹸で経験するように手につけるとぬるぬるした感じがします。ところで、布を石鹸液に浸すと青色になったのですから、布に吸着したこの植物の色素はアルカリ性では青色になると思われます。
 
この布を乾かすと黄色になったようですが、アルカリ性になると色素は一般に酸素で分解されやすくなります。これは色素の種類にもよりますが、今度、使った植物の色素は特にこのアルカリ性で酸化されやすいため、乾燥する間に酸化されて黄色になったように思われます。

(岩などにへばりついて生えている)地衣類とよばれる植物にはリトマスとよばれる色素が含まれ、リトマスは酸性で赤色、アルカリ性で青色になります。リトマスをろ紙にしみ込ませ乾燥したのをリトマス試験紙とよび、これを酢につければ赤色、石鹸液につければ青色になります。このようにリトマス試験紙は、ある液が、酸性であるか、アルカリ性であるのかを決めるのに使われていますが、ここで使われた花や野菜の汁をろ紙(コーヒー・フイルターのようなものでもよい)にしみこませ、乾燥させれば、酸性、アルカリ性をテストできる試験紙になるでしょう。布の場合と同じように、酢ではピンク色、石鹸液では青色になると思います。

ところで色素をしみこませた布を日本酒につけたとき、どんな色になったのでしょうか?日本酒はすっぱさの程度は、酢よりも低く、しかし、石鹸液よりは高い、中性とよばれる性質をもっていますが、エタノールを大体15%含んでいます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2007-08-27
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