一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カイワレ大根の実験

質問者:   中学生   ゆか
登録番号1412   登録日:2007-08-31
今自由研究でカイワレ大根の実験をしています。
水、米のとぎ汁、台所用洗剤、洗濯用合成洗剤、塩水、砂糖水の6種類を使ってどういうものが環境に悪いのかを調べています。(7日間やりました)
結果は水と米のとぎ汁がよく育ったんですけど、台所用洗剤は種が割れただけで、洗濯用洗剤は種の色が真っ黒になってしまいました。
塩はなにも変化がなく、砂糖はカビが生えてしまいました。

なぜ洗濯用合成洗剤で育てた種は真っ黒になってしまったのでしょうか?
それに砂糖はカビが生えにくいものだと聞いていたのですがなぜかカビが生えてしまいました。それは気温に関係があるんでしょうか?
教えてください。
ゆか さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
「どういうものが環境に悪いのかを」ダイコンの発芽で調べようとしていますね。確かに、種子の発芽は環境の影響を強く受けますが、「環境の善し悪し」はいろいろ原因が複雑に絡み合って決まってくることも頭の中にしっかりといれておいて下さい。
余談ですが、「かいわれ大根」というのは「二葉のダイコン」と言う意味で、品種の名前ではありません。どんな品種のダイコン種子からも作れますが、茎の白い方がよいのでシロクビダイコンなどがよく使われているようです。
本題に戻りましょう。水、米のとぎ汁、台所用洗剤、洗濯用合成洗剤、塩水、砂糖水の6種類を使って発芽試験をしたようですが、この種の試験、実験でとても大切な情報、「どんな濃度の試験水をつくって使用したのか」がありませんので、この試験の結果を評価することができないのです。同じようなご質問が登録番号0365、登録番号0964、登録番号0969、登録番号0977、登録番号1399にありますので、まずそれをご覧になって下さい。とても参考になると思います。ゆかさんの場合は、水、米のとぎ汁以外は濃度が濃すぎたのでしょう。塩水は濃すぎたので発芽しなかった。砂糖水も同じですが、砂糖はカビや細菌類の大好物ですからカビが生えたのは当然です。「砂糖はカビが生えにくい」というのは、濃度が非常に濃いときの話です。ジャムとか砂糖漬けなどはその例です。それは、塩水でも同じです。塩漬けは保存食品ですね。それほど濃い砂糖水や塩水を使えば、つまり、カビや細菌まで生えないような濃度では種子はたちまち死んでしまいます。台所用洗剤は濃度が薄かったのでしょう。発芽しようと水を吸うことまではできたのですが、洗剤の効果でそれ以上生育できなかったと思われます。洗濯用洗剤には増量剤、漂白剤、蛍光色素、柔軟剤といった物質などが入っています。その上、濃度が高過ぎたため種子の細胞に壊死をおこさせてしまったのでしょう。組織が壊死をおこすと黒くなります。
種子の発芽でも成長の速さでも、生物の働きに対して、ある物質がどんな影響を与えるかを調べるときには、1つの物質でもいろいろな濃度(薄いのから濃いのまで)で調べなければなりません。違った物質の効果を調べるなら、物質毎に影響が出始めた濃度を比較して、効果が強いとか弱いとか判断することになります。
よく調べ、よく考えて、事前に作戦を練ってから実験をはじめて下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-09-06
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