質問者:
自営業
星の王子様
登録番号1417
登録日:2007-09-05
樹木の枝は水平に非常に長く伸びても、腐朽とか損傷がない限り自身の重みでは折れないようです。枝の太さ、或いは支持力に対して、先にどれだけ伸びても大丈夫なのか、樹木のどこが計算して先端に「もっと伸びても良い」とか、「もう伸びるな」とかの指令をだしているのでしょうか?雪の重みや風の影響が無い限り、伸び続けることができるのでしょうか?支えをすれば限りなく伸びるのは当然だと思うのですがメカニズムが良く分かりません。ホルモンが関係しているのではないかと推測しているのですが宜しくお願いします。
みんなのひろば
樹木の枝が長く伸びてもその重みで折れない理由は?
星の王子さま
みんなのひろばへのご質問有難うございました。樹木の枝を支えている仕組みを知るために、枝を切って切り口を見てみましょう。サクラのような広葉樹(被子植物)の枝でしたら、枝の上側の年輪の幅が下側の年輪の幅より広くなっていることと、上側の材が白っぽいことに気が付くと思います。上側の材が白っぽいのは材の中のセルロースが多いからです。セルロースは引っ張る力に強いので、材を鉄筋コンクリートにたとえると、セルロースは鉄筋ということになります。枝の上側の材を引っ張る力に強い材にして、枝が垂れ下がらないようにを引っ張りあげているのです。広葉樹の枝の上側から板を切り出すと、この板は枝の軸方向に縮みます。このことから、枝の上側の材は引っ張りあって、枝が垂れ下がるのを防いでいることが分かります。材が引っ張りあっている所から、広葉樹の枝の上側の材は“引っ張りあて材”と呼ばれています。マツなどの針葉樹の(裸子植物)の枝を支える仕組みは広葉樹の場合と違っています。針葉樹の枝を切って切り口を見ると、下側の年輪の幅が上側の年輪の幅より広くなっていることと、材の色が下側で濃くなっていることが分かると思います。下側の材が濃い色をしているのは、材の中のリグニンが多いからです。リグニンは圧縮する力に強いので、材を鉄筋コンクリートにたとえれば、リグニンはコンクリートということになります。枝の下側の材を圧縮に強い材にして、枝が垂れ下がるのを下側から支えているのです。針葉樹の枝の下側から板を切り出すと、この板は軸方向に伸びます。枝の中で圧縮されていたことが分かります。針葉樹の枝の下側の材は圧縮されているので“圧縮あて材”と呼ばれています。引っ張りあて材、圧縮あて材を合わせて“あて材”といいますが、あて材が枝を支えるのに重要であることは、あて材の発達しないサクラで枝がしだれることからも分かります。これまでに“みんなのひろば”に寄せられた質問とそれに対する回答の幾つかをピック・アップして本にしました(「これでナットク!植物の謎」 講談社ブルーバックス)。しだれの質問とそれに対する回答も載っているので、ご覧になって下さい。これは樹木の枝での研究ではありませんが、茎の下の方に上の方の重さを感じる仕組みがあることが見付かっています。茎の下の方の部分は上の方の部分の重さに耐えるため、茎を丈夫にするための遺伝子を働かせていますが、植物全体を逆さまにするなどして、重さがかからなくすると、茎を丈夫にする遺伝子の働きが弱くなくなります。樹木の枝にも自分の重さを感じる仕組みがあることは十分考えられます。
みんなのひろばへのご質問有難うございました。樹木の枝を支えている仕組みを知るために、枝を切って切り口を見てみましょう。サクラのような広葉樹(被子植物)の枝でしたら、枝の上側の年輪の幅が下側の年輪の幅より広くなっていることと、上側の材が白っぽいことに気が付くと思います。上側の材が白っぽいのは材の中のセルロースが多いからです。セルロースは引っ張る力に強いので、材を鉄筋コンクリートにたとえると、セルロースは鉄筋ということになります。枝の上側の材を引っ張る力に強い材にして、枝が垂れ下がらないようにを引っ張りあげているのです。広葉樹の枝の上側から板を切り出すと、この板は枝の軸方向に縮みます。このことから、枝の上側の材は引っ張りあって、枝が垂れ下がるのを防いでいることが分かります。材が引っ張りあっている所から、広葉樹の枝の上側の材は“引っ張りあて材”と呼ばれています。マツなどの針葉樹の(裸子植物)の枝を支える仕組みは広葉樹の場合と違っています。針葉樹の枝を切って切り口を見ると、下側の年輪の幅が上側の年輪の幅より広くなっていることと、材の色が下側で濃くなっていることが分かると思います。下側の材が濃い色をしているのは、材の中のリグニンが多いからです。リグニンは圧縮する力に強いので、材を鉄筋コンクリートにたとえれば、リグニンはコンクリートということになります。枝の下側の材を圧縮に強い材にして、枝が垂れ下がるのを下側から支えているのです。針葉樹の枝の下側から板を切り出すと、この板は軸方向に伸びます。枝の中で圧縮されていたことが分かります。針葉樹の枝の下側の材は圧縮されているので“圧縮あて材”と呼ばれています。引っ張りあて材、圧縮あて材を合わせて“あて材”といいますが、あて材が枝を支えるのに重要であることは、あて材の発達しないサクラで枝がしだれることからも分かります。これまでに“みんなのひろば”に寄せられた質問とそれに対する回答の幾つかをピック・アップして本にしました(「これでナットク!植物の謎」 講談社ブルーバックス)。しだれの質問とそれに対する回答も載っているので、ご覧になって下さい。これは樹木の枝での研究ではありませんが、茎の下の方に上の方の重さを感じる仕組みがあることが見付かっています。茎の下の方の部分は上の方の部分の重さに耐えるため、茎を丈夫にするための遺伝子を働かせていますが、植物全体を逆さまにするなどして、重さがかからなくすると、茎を丈夫にする遺伝子の働きが弱くなくなります。樹木の枝にも自分の重さを感じる仕組みがあることは十分考えられます。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2007-09-12
柴岡 弘郎
回答日:2007-09-12