一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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そうめんカボチャの繊維の正体は何でしょうか

質問者:   一般   そうめんかぼちゃ
登録番号1419   登録日:2007-09-09
この夏休みに高校生の娘がそうめんカボチャという料理を作ってくれました。少し前にテレビ番組で紹介されていたもので、郷土料理として各地方に伝えられているようです。そうめん瓜とかそうめんカボチャとかいう瓜の仲間の実を太い輪切りにしてワタと種を除いて数分間ゆでると、そうめんのような直径1-2mm程度の繊維が果肉からほぐれてきます。この繊維を集めて冷水にさらしてサラダのようにして食べるもので、さっぱりしておいしい料理です。娘も私もこの繊維が何でできているのかに興味を持ちました。そうめんの様に表面がつるつるしていて、枝分かれがほとんど無く、実の中を赤道方向(?)に数回周回する程度の長さがあります。果肉が肥大していくときに形成されるのかなと思うのですが、果肉の肥大について基礎知識が無く見当がつきません。この繊維はセルロースの束でしょうか?
そうめんかぼちゃ さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

キンシウリを含むカボチャはウリ科の植物で、ズッキーニのように未熟果実を食べるものもありますが、ニホンカボチャ、セイヨウカボチャなど果菜としてのカボチャは完熟果実の果皮を食用にしています。ウリ科の果実は瓜状果と言われ、1本の雌しべの子房が発達・肥大したもので、かなり堅い外果皮(皮と言っている部分)とその内側に厚い多肉化した果皮(中果皮と中果皮とからなりますがカボチャではその区別ははっきりしていません。子房壁が発達したものです)、さらにその内側には種子が、繊維状(あるいは綿状)に発達した胎座に埋め込まれたように出来ています。被子植物の雌しべの基にある子房の中には子房室ができていて、その内側に、種子の基になる胚珠ができます。この胚珠が出きる子房室内側の領域を胎座と読んでいます。ところが、キンシウリと言うウリでは、中・内果皮があまり発達しないで、胎座が繊維状に密に発達しています。そうめん状になる部分はこの胎座です。私たちはキンシウリの繊維状の胎座を取り出して「ソウメンカボチャ」と言って食べているわけです。そうめん状の胎座が細胞レベルでどのような構造になっているかは研究が少なくよく判りません。しかし、セルロースを主体とする細胞壁が繊維状の強さを示していることは確かと思います。形状は違いますが、スイカも食べるところは胎座とそれに付随して発達した組織で、果皮は皮として食べません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-09-22
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