質問者:
教員
たまちゃん
登録番号1436
登録日:2007-10-09
こんにちは。初めて質問させていただきます。みんなのひろば
苛性ソーダでどうして葉脈が取り出せるのか
小学校の科学クラブで葉脈の取り出しをして、栞を作ろうと思っています。毎回その実験やものづくりに関わるおまけ資料も提供しているのですが、一つ疑問が出てきたので、お聞きします。
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の水溶液に浸した後葉身をたたくと、葉肉が取れ、葉脈のみが残るという実験があります。苛性ソーダは主にタンパク質を変性し、脂質を乳化する作用がありますよね。葉肉も葉脈も植物として同じような成分(クチクラ層は蝋、葉や葉脈は主にタンパク質、糖類、炭水化物、脂質)からできているのに、どうして葉脈だけが残るのでしょうか?
質問登録番号0711、登録番号0816、登録番号0946も参考にさせて頂きましたが、どうもはっきりしません。構成成分が同じでも、割合が違うからなのか、単に維管束の物質の密度の問題で、強アルカリや長い間浸しておけば葉脈も溶けてしまうのか、それとも他の理由があるからなのか、教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
たまちゃん さま
葉脈はご質問の中にありましたこれまでの回答のように、葉の細胞に必要な水、無機養分を供給する役割(道管、仮道管)、葉の細胞で生産された光合成産物を葉から送り出す役割(ふるい管)をもっています。このように葉脈は葉の細胞活動を支える、血管に似た機能をもっていますが、同時に、これら維管束と共に、太い葉脈にある維管束を取り囲む厚い細胞壁をもつ厚壁組織、厚角組織は、光合成をするのに都合がよいように葉を水平に広げる、傘の骨のような役割もしています(登録番号0253への回答参照)。
葉脈の組織を構成する主な成分は、セルロース、へミセルロース、リグニンであり、これらは苛性ソーダ液のようなアルカリ性溶液には溶けません。この他に、僅かの蛋白質、脂質、光合成産物である糖類などが葉脈に含まれていますが、これらは苛性ソーダ液に溶けるため、失われます。葉脈は葉を水平に支えることができることからも予想されるように力学的に非常に強く、そのため葉の細胞内の蛋白質、炭水化物(糖類、デンプン)、脂質など、さらに細胞と細胞の間でのりづけの役割をもつペクチンなどは苛性ソーダによって溶かされるか、または、洗い去られますが、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とする葉脈はその形を元のまま残すことができます。
葉脈はご質問の中にありましたこれまでの回答のように、葉の細胞に必要な水、無機養分を供給する役割(道管、仮道管)、葉の細胞で生産された光合成産物を葉から送り出す役割(ふるい管)をもっています。このように葉脈は葉の細胞活動を支える、血管に似た機能をもっていますが、同時に、これら維管束と共に、太い葉脈にある維管束を取り囲む厚い細胞壁をもつ厚壁組織、厚角組織は、光合成をするのに都合がよいように葉を水平に広げる、傘の骨のような役割もしています(登録番号0253への回答参照)。
葉脈の組織を構成する主な成分は、セルロース、へミセルロース、リグニンであり、これらは苛性ソーダ液のようなアルカリ性溶液には溶けません。この他に、僅かの蛋白質、脂質、光合成産物である糖類などが葉脈に含まれていますが、これらは苛性ソーダ液に溶けるため、失われます。葉脈は葉を水平に支えることができることからも予想されるように力学的に非常に強く、そのため葉の細胞内の蛋白質、炭水化物(糖類、デンプン)、脂質など、さらに細胞と細胞の間でのりづけの役割をもつペクチンなどは苛性ソーダによって溶かされるか、または、洗い去られますが、セルロース、ヘミセルロース、リグニンを主成分とする葉脈はその形を元のまま残すことができます。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2012-08-25
浅田 浩二
回答日:2012-08-25