質問者:
一般
れいに
登録番号1485
登録日:2007-11-29
宿根草を鉢で育てています。根の働きについて
植替え時にぐるぐる巻きついた根をほどく作業に手間がかかるため、鉢の中で根を巻かせない方法を模索して、根のことを調べ始めました。
今回お聞きしたいのは下の2点です。
・根は水分や養分をどこから吸収している?
(調べるまでは、根全体で吸収していると思っていました)
・太い根も細い根も働き(役割)は同じ?
(働きは同じで、成長途中の根が細いのだと思っていましたが、何か役割があって選ばれて栄養を多くもらって太くなっているのでは?とも思えます)
「根は水分や養分を先端で吸収していて、根がぐるぐる回るのは水分などを求めて伸びていくため」というような内容の記事があり、さらに「根の性質を利用して根の成長を停止させると、ホルモンの働きによって新たな根を形成させることができる」と書かれてありました。
根の量が増えることで地上部も大きく成長し、大きくなった地上部からの栄養が根に届いて、根もさらに大きくなる。ということなのかと解釈しました。記事を読んだ時には「なんて素晴らしい!」と思ったのですが、数本の太い根が伸びて水分を探すより、たくさんの細い根がそれぞれ吸収した方が効率がいいなら、植物は既にそうしているのでは?そうしないのは何か理由があるのでは?と考えるようになりました。できない環境をこちらが作っているのかも。
また前述の記事とは別に「根は通常先端で水分や養分の吸収をするが、必要な時には先端以外の部分にまで吸収できる範囲を広げる可能性がある」というものもありました。10年ほど前に書かれた記事だったと思いますので、現在はどう考えられているのかわかりません。もし吸収範囲を広げるのなら数本の太い根を更に伸びるようにすればいいのでは?とも思えます。
発芽から開花まで2〜3年かかります。最終目標は十分成長させて、たくさんの花を見ることですので、根を伸ばせるだけ伸ばした方がいいようなら、植替え時の手間を省く違う方法を考えたいと思いますし、伸ばすより増やした方がいいなら、根の成長を停止させてみる方法を試してみたいと思います。
短くまとめられなくて申し訳ありません。よろしくお願いします。
れいに さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
1本の植物にはたくさんの根ができて土壌から水・栄養分の吸収をしていますが、たくさんの根をまとめて根系といっています。根系の出来方には、茎からでる主根を中心にして枝となる側根をたくさん出す主根・側根型と、茎のまわりから同じような太さの根が放射状にでるひげ根型とがあります。主根・側根型は主に双子葉植物、ひげ根型は単子葉植物に見られるものです。地上部の成長と一緒に根系も成長しますので、古い根、新しい根が共存しますし、1本の根でも先端部は若く、基部は古い部分となっています。水、栄養分の吸収は新しくできた根で主に行われます。新しい根の先端部には細い根毛がブラシの毛のように生えていて、吸収は主にこの根毛で行われていると言われています。しかし若い根でも基部の方に根毛のない部分がありますがその部分でも水・栄養分は吸収されています。根は毎年、新しい枝根や側根を出しますので吸収はそれらの若い根で行われ、古くなると根の表面にクチクラやコルク層などが発達して吸収する機能を失います。
根の役割には土中から水や栄養分を吸収することのほかに、地上部を固定すること、物質を貯蔵すること、栄養分を通導すること、という大切な働きがあります。物質を長期間貯蔵する種では栄養繁殖の役割も果たしています。宿根草はその例です。木本植物では古く二次組織の発達した根は吸収能力をもたなくでも大きな地上部を支えることに重要な役割を果たしています。たくさん枝分かれした側根、ひげ根とさらにその先端部の根毛などは限られた根系の中で根の表面積を大きくして吸収を効率よく行うことに役立っていますが、同時に地上部をしっかりと固定する働きもしている。
「根を張る」と言われる由縁ですね。根には、より湿度の高い方へ曲がって成長する性質(ハイグロトロピズム)があります。根は水を吸収する働きを持っていますから、「水を求めて成長運動する」ことはすばらしい適応です。鉢植えの植物の根がぐるぐる巻くのは根が成長する方向に妨害物(鉢)あるため「仕方なく」曲がるためで、水を求めて曲がることとはまったく意味が違います。「植替え時にぐるぐる巻きついた根をほどく作業に手間がかかるため、鉢の中で根を巻かせない方法を模索して、根のことを調べ始めました」とありますが、勘違いされておられるようです。植物によっても違いますが根の成長はかなり大きなものです。「長い間植え替えをしなかった」ために根がぐるぐる巻き付いたもので植物が生きるために必死になった証拠です。「鉢植え」というのは人間が勝手に自分の都合で植えている方法で植物にとってはたいへんストレスのかかるものです。その上立派な花を期待するなら多少の「手間」を惜しまないで優しく面倒を見てあげてください。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
1本の植物にはたくさんの根ができて土壌から水・栄養分の吸収をしていますが、たくさんの根をまとめて根系といっています。根系の出来方には、茎からでる主根を中心にして枝となる側根をたくさん出す主根・側根型と、茎のまわりから同じような太さの根が放射状にでるひげ根型とがあります。主根・側根型は主に双子葉植物、ひげ根型は単子葉植物に見られるものです。地上部の成長と一緒に根系も成長しますので、古い根、新しい根が共存しますし、1本の根でも先端部は若く、基部は古い部分となっています。水、栄養分の吸収は新しくできた根で主に行われます。新しい根の先端部には細い根毛がブラシの毛のように生えていて、吸収は主にこの根毛で行われていると言われています。しかし若い根でも基部の方に根毛のない部分がありますがその部分でも水・栄養分は吸収されています。根は毎年、新しい枝根や側根を出しますので吸収はそれらの若い根で行われ、古くなると根の表面にクチクラやコルク層などが発達して吸収する機能を失います。
根の役割には土中から水や栄養分を吸収することのほかに、地上部を固定すること、物質を貯蔵すること、栄養分を通導すること、という大切な働きがあります。物質を長期間貯蔵する種では栄養繁殖の役割も果たしています。宿根草はその例です。木本植物では古く二次組織の発達した根は吸収能力をもたなくでも大きな地上部を支えることに重要な役割を果たしています。たくさん枝分かれした側根、ひげ根とさらにその先端部の根毛などは限られた根系の中で根の表面積を大きくして吸収を効率よく行うことに役立っていますが、同時に地上部をしっかりと固定する働きもしている。
「根を張る」と言われる由縁ですね。根には、より湿度の高い方へ曲がって成長する性質(ハイグロトロピズム)があります。根は水を吸収する働きを持っていますから、「水を求めて成長運動する」ことはすばらしい適応です。鉢植えの植物の根がぐるぐる巻くのは根が成長する方向に妨害物(鉢)あるため「仕方なく」曲がるためで、水を求めて曲がることとはまったく意味が違います。「植替え時にぐるぐる巻きついた根をほどく作業に手間がかかるため、鉢の中で根を巻かせない方法を模索して、根のことを調べ始めました」とありますが、勘違いされておられるようです。植物によっても違いますが根の成長はかなり大きなものです。「長い間植え替えをしなかった」ために根がぐるぐる巻き付いたもので植物が生きるために必死になった証拠です。「鉢植え」というのは人間が勝手に自分の都合で植えている方法で植物にとってはたいへんストレスのかかるものです。その上立派な花を期待するなら多少の「手間」を惜しまないで優しく面倒を見てあげてください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-12-17
今関 英雅
回答日:2007-12-17