一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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落葉樹に菌根菌を接種する時期はいつが良いですか

質問者:   自営業   果樹農家
登録番号1487   登録日:2007-12-03
ブドウを主体に農業をしています。市販の内生菌根菌資材の取り扱い説明書をみると、菌の接種は宿主から炭水化物を得られる状態のとき(農作業の上では作物の発芽直前か定植のとき)に行うように書かれていて、しごくもっともなのですが、ブドウのような落葉樹ですでに畑で成木になっているものの場合、休眠時期をさけて接種するべきなのかどうか迷っています。(果樹栽培では、根を切るような作業は休眠期におこなうものなので。) またそれに関連する疑問で、落葉樹とすでに共生している菌根菌は、宿主が光合成していない期間、どのような状態にあるのでしょうか。
果樹農家 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
菌根菌は外生菌根菌、内生菌根菌に分けられたくさんの種類があります。このご質問で問題とされているのは宿主特異性が比較的低く、共生関係を保つVesicular-Arbuscular 菌(VA菌といわれています)のことだと思います。VA菌は内生菌の一種で宿主細胞内に樹状(Arbuscular)と嚢状(Vesicular)の構造をつくる菌類(カビの仲間)を指す総称です。生存に不利な条件に置かれれば胞子を形成しますので宿主植物の活動が低下する冬期には胞子が形成されます。そのため、すでに感染している植物では光合成が盛んになる季節になれば胞子が発芽して菌根を形成します。
VA菌は珍しい菌ではありませんので果樹などでは自然感染しているはずで、土壌条件が菌根形成に適したものであれば繰り返し菌接種をする必要はないはずです。むしろ菌根形成に良好な土壌条件(農薬使用や施肥条件を含め)をつくることの方が重要ではないかと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2007-12-17
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