質問者:
小学生
いよちゃん
登録番号1494
登録日:2007-12-15
こんにちは。私は小学校の6年生です。みんなのひろば
針葉樹と広葉樹では葉が土に返るまでの時間差はありますか
さっそくですが、質問させていただきます。
学校の落ち葉をはいている時、先生が「イチョウの葉は、土に返らないから腐葉土になりません。」とおっしゃたので、ごみ袋に回収しました。
また、お風呂のいすを買ったとき、お店の方が、
「このヒバは、削りカスでも土に返りません。東北地方の旅館のお風呂はみなこのヒバが使われています。ヒノキ風呂とかってにお客さんが解釈しているだけで、もしヒノキ風呂をつくれば、5年ほどで腐ってしまいまうので採算がとれないのです。ヒバの使われた建造物には九段会館も含まれます。」
と、教えてくれました。
わたしは、木が分解される条件と分解するもの(菌か虫かミミズなどかもふくめて)を知りたくなりました。また、針葉樹、広葉樹によって土に返る時間に違いがあるのか、イチョウやヒバが分解されない理由は何なのか教えてください。
ヒバはヒノキと比べ、水には強いようですが、建造物としてはそれぞれどれ位耐久性があるものでしょうか。
以上、どうぞよろしくお願いします。
いよちゃん さん:
大変お待たせしました。1494「針葉樹と広葉樹では葉が土に返るまでの時間差はありますか」のご質問は針葉樹と広葉樹の葉の分解とヒバ、ヒノキ材の腐食に関する2つの問題が含まれていましたので、森林総合研究所のそれぞれ専門の先生方に回答をお願いし、次のような解説を頂きました。小学生のいよちゃんには少しむずかしい言葉があるかもしれませんが、よく読んでいただけば分かると思います。ヒノキやサワラなども浴槽の材料として使われています。ていねいに管理すれば長持ちすると思われます。
*ヒバ、ヒノキ材の耐久性について
ヒバ材やヒノキ材が浴槽に使われる(使われた)原因は、腐りにくいことによります。この腐りにくさの原因として、木材腐朽菌に対する抗菌性物質の存在があります。ヒノキチオールはヒバ材の抗菌性物質ですが、ヒノキ材には含まれていません。
ヒノキ材が腐りにくいのはヒノキチオールとは異なるテルペン類の存在に拠ります。
木材の腐り易さについては、以前に森林総研で多種の木材の野外試験の結果が報告されています。それによると、木材を耐腐性の違いによって下記の5グループに分類しています。木材の耐腐性の違いの原因の一つは、各々の木材中に含まれる抽出成分(耐腐性成分)の違いによります。一般には、フェノール類、テルペン類が主な抗菌性成分として見出されています。
I(耐腐性最大):カヤ、コウヤマキ等
Ⅱ(耐腐性大):ヒノキ、サワラ、ヒバ等
Ⅲ(耐腐性中):カラマツ、スギ等
Ⅳ(耐腐性小):モミ、ブナ等
Ⅴ(耐腐性最小):ドロノキ、シラカンバ等
大原誠資(森林総合研究所・バイオマス化学研究領域)
*針葉樹と広葉樹の葉の分解について
一般に、針葉樹の葉の方が広葉樹より腐りにくく、土に返るまでの時間が長くかかります。落ち葉を腐らせ、分解するのは微生物やミミズの働きによるものです。腐る速さは落ち葉の成分と温度や水分などの環境条件によって異なります。針葉樹の落ち葉の方が広葉樹よりも分解しにくい成分(リグニン)を多く含み、かつ、栄養分が少ないので、微生物やミミズが繁殖しにくいので分解は遅くなります。また、寒い地方や乾燥した土地でも腐りにくくなります。ただし、針葉樹も広葉樹もたくさん種類があり、例外が多く見られます。イチョウは腐りにくいといわれています。それはイチョウの葉にケイ素が多く含まれているからでしょう。ケイ素は岩石に多く含まれる成分で、硬いのでミミズは好まないようです。しかし、ある程度時間が経つと微生物の働きでやはり分解してしまいます。
高橋 正通(森林総合研究所・立地環境研究領域)
大変お待たせしました。1494「針葉樹と広葉樹では葉が土に返るまでの時間差はありますか」のご質問は針葉樹と広葉樹の葉の分解とヒバ、ヒノキ材の腐食に関する2つの問題が含まれていましたので、森林総合研究所のそれぞれ専門の先生方に回答をお願いし、次のような解説を頂きました。小学生のいよちゃんには少しむずかしい言葉があるかもしれませんが、よく読んでいただけば分かると思います。ヒノキやサワラなども浴槽の材料として使われています。ていねいに管理すれば長持ちすると思われます。
*ヒバ、ヒノキ材の耐久性について
ヒバ材やヒノキ材が浴槽に使われる(使われた)原因は、腐りにくいことによります。この腐りにくさの原因として、木材腐朽菌に対する抗菌性物質の存在があります。ヒノキチオールはヒバ材の抗菌性物質ですが、ヒノキ材には含まれていません。
ヒノキ材が腐りにくいのはヒノキチオールとは異なるテルペン類の存在に拠ります。
木材の腐り易さについては、以前に森林総研で多種の木材の野外試験の結果が報告されています。それによると、木材を耐腐性の違いによって下記の5グループに分類しています。木材の耐腐性の違いの原因の一つは、各々の木材中に含まれる抽出成分(耐腐性成分)の違いによります。一般には、フェノール類、テルペン類が主な抗菌性成分として見出されています。
I(耐腐性最大):カヤ、コウヤマキ等
Ⅱ(耐腐性大):ヒノキ、サワラ、ヒバ等
Ⅲ(耐腐性中):カラマツ、スギ等
Ⅳ(耐腐性小):モミ、ブナ等
Ⅴ(耐腐性最小):ドロノキ、シラカンバ等
大原誠資(森林総合研究所・バイオマス化学研究領域)
*針葉樹と広葉樹の葉の分解について
一般に、針葉樹の葉の方が広葉樹より腐りにくく、土に返るまでの時間が長くかかります。落ち葉を腐らせ、分解するのは微生物やミミズの働きによるものです。腐る速さは落ち葉の成分と温度や水分などの環境条件によって異なります。針葉樹の落ち葉の方が広葉樹よりも分解しにくい成分(リグニン)を多く含み、かつ、栄養分が少ないので、微生物やミミズが繁殖しにくいので分解は遅くなります。また、寒い地方や乾燥した土地でも腐りにくくなります。ただし、針葉樹も広葉樹もたくさん種類があり、例外が多く見られます。イチョウは腐りにくいといわれています。それはイチョウの葉にケイ素が多く含まれているからでしょう。ケイ素は岩石に多く含まれる成分で、硬いのでミミズは好まないようです。しかし、ある程度時間が経つと微生物の働きでやはり分解してしまいます。
高橋 正通(森林総合研究所・立地環境研究領域)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-01-31
今関 英雅
回答日:2008-01-31