一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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繊維

質問者:   中学生   c
登録番号1496   登録日:2007-12-17
なぜ繊維が水に濡れると伸びるか教えてください。セルロースが伸びているのか、他のものが伸びているのか、どんなものか、何故伸びるのかについて教えてください。
Cさま

みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡と申します。二つ質問を頂きましたが、2番目の質問は最初の質問の続きのようですので、合わせて一つの質問として答えさせて頂きますが、お答えする前にひとこと云いたいことがあります。
本当に科学が好きならば、急がずに、じっくりと観察してじっくりと考えて下さい。科学は忍耐強い人達の時間をかけての努力によって進歩して来たのです。
ご質問の中の“翼”とか“繊維”という言葉がよく理解できない(植物学的に正しい使い方でない)ので、まず、言葉をハッキリさせましょう。マツボックリは果鱗と呼ばれる鱗状のものが集まってできています。あなたが翼と云っているのは果鱗ではないかと思いますが、それでよろしいでしょうか。次に繊維ですが、繊維は顕微鏡を使わなければ見えない物なので、あなたが繊維と云っているのは茶色くなったマツボックリの果鱗そのもの(あるいはその内側の一部)ではないかと思いますが違いますか。繊維といっているものが何を指しているのか分かりませんので、乾燥して茶色くなったマツボックリの果鱗の話をします。茶色くなった果鱗は死んだ細胞の集まりです。細胞は細胞壁で囲まれています。細胞壁は細胞が死んだあと残されたますので、死んだ細胞の集まりと云うよりは死んだ細胞の細胞壁の集まりと云った方が良いかも知れません。セルロースは細胞壁の重要な成分です。生きた細胞では細胞のなかに水が満たされており、水が細胞壁を内側から押しているので、細胞は膨らんでいますが、水がなくなると内側から押す力がなくなるので、細胞は小さくなります。植物に水をやらないでいると萎れて来るのはこのためです。細胞が死んだあと乾燥するとますます細胞の体積は減少します。乾燥ワカメなどを思い出して下さい。乾燥した細胞に水を与えると、元の体積に戻ろうとします。ワカメを水につけた時のことを思い出して下さい。ということで、伸びているのは死んだ細胞なのです。木材も死んだ細胞の細胞壁の集まりですが、細胞壁が丈夫なので伸び縮みしないのです。
2番目の質問の答えですが、セルロースは伸びません。ですから果鱗の軸の方向にセルロースが並んでいれば果鱗は水を吸っても伸びないのですが、軸の方向に並んでいないので伸びることができるのです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2008-01-31
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