一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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果実内に菌は存在するのか?

質問者:   会社員   たかはし
登録番号1499   登録日:2007-12-19
健康な植物の細胞内には菌は存在しないという回答を掲示板で拝見いたしました。
そこで、新たな疑問が出てきました。
①海外で、メロンを原因とするサルモネラによる食中毒の発生がありますが、外皮のみの汚染でしょうか?それとも細胞間の空隙(例えば維管束とか)を通じ、果実内が汚染される可能性はないのでしょうか?
②メロンを長期間冷蔵庫等で放置していると、内部からも腐敗が発生しているように感じます。長期保管による内生的な崩壊が原因ですか?
たかはし さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
内生菌根菌、根粒細菌、病原菌などに感染した植物組織以外では植物の内部組織や細胞内に微生物は存在しないと考えてよいと思います。植物体の表面にはたくさんの微生物が付着しています。単に表面に付着するだけでなく、表面の細胞から分泌された物質内に埋め込まれた形で存在することもあります。しかし、これらの微生物は健康な植物細胞の中には侵入していませんし、細胞間隙などを通って内部に入ることはありません。そのため、植物組織の切片などは表面殺菌をきちんとすれば栄養価の高い培地上において植物細胞だけを培養することができます。果実などを食べてサルモネラによる食中毒が発生したとすれば、サルモネラ菌が人為的原因で果実などに付着した結果です。
メロンは近東地域が原産と言われており、どちらかというと低温感受性の高い植物です。メロン果実を長期間低温におくと低温傷害をおこし、細胞が正常な機能を果たさなくなります。その結果、組織軟化や組織壊死がおきます。またメロン果実の中心部は胎座という繊維質の軟組織が主となっており、果実の成熟はこの部分から外側に向かって進行する傾向があります。そのため、過熟状態になれば特に中心部は「腐敗」したように軟化します。さらに、低温傷害をうけたり、過熟状態になったりすると表面に付着していた本来は病原性を示さない微生物の侵入を受けやすくなり、「腐敗」したように果実組織は軟化します。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-01-10
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