一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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展開溶媒

質問者:   高校生   クロマト
登録番号1502   登録日:2007-12-22
ナスの皮、ブドウの皮、カレー粉の色素を薄層クロマトグラフィーを使って分離する実験を2回したのですが、上手くいきませんでした。抽出には1回目エタノールを使い、2回目水で、展開溶媒はエタノール、水、トルエン:キシレン=7:3を使いました。結果は、1回目はっきりとした色の変化が見られず、2回目はミキサーで細かくしすぎたせいか、全く展開できませんでした。(ナスとブドウ)ここで質問したいのは次のことです。

①展開溶媒はそれぞれ(ナス、ブドウ、カレー)に何を、どんな比で使えばよいのか?また、その理由
②抽出方法はあっているのか、その抽出液を使うことができるか(1回目、2回目とも)?
③濃縮方法について(何倍濃縮すればいいのかなど)
クロマト さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
植物成分を分析するときには、対象とする成分の性質を予めよく調べて知っておくことが必要です。植物の色素にはたくさんの種類がありそれぞれ性質が違います。ナス、ブドウの色素はアントシアン色素、カレー粉の色素はクルクミンと言う色素で、どちらもポリフェノールに属するものです。ご質問は植物色素を専門に研究されている吉田 久美先生に回答をお願いし、次のような解説を頂きました。抽出溶剤の使用量、濃縮の度合いなどは材料の状態(新鮮なものか、乾燥したものかなど)によって異なりますので実験者が何度か試みながら最適の条件を決めていくものです。
なお、登録番号1178と今回のの回答に指摘されているメタノール、ブタノール、ヘキサン、アセトン、クロロフォルムなどの有機溶剤は労働衛生安全法はじめいくつかの法律で使用法に規制がありますので担当の先生とよく相談された上で使用してください。



ご質問いただき、ありがとうございます。
この実験はどのような目的でなさったのでしょうか。これらに含まれる成分の分析か、色素だけを目的とした分析かで方法が若干異なります。
色素を目的でしたら、ナスとブドウはアントシアニン、カレー粉はクルクミンで性質の異なる色素です。前者については、質問コーナーの登録番号1178で詳しくお答えしておりますので、それを参考になさってくださればと思います。
クルクミンについては、水には溶解しません。エタノールやヘキサン、アセト ンで抽出するのが一般的です。シリカゲル薄層クロマトグラフィーでは、クロロホルム:酢酸エチル(1:1)などで行えるかと思います。

吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-01-31