一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カドミウムについて

質問者:   大学院生   hisa
登録番号1508   登録日:2007-12-25
最近、イネや麦において、カドミウムが蓄積すると聞きました。
カドミウムは、イタイイタイ病の原因にもなった重金属です。

そこで、疑問に思ったのですが、カドミウムは、カルシウムや鉄と同じ経路や吸収遺伝子で吸収されているんでしょうか?

また、田や畑からカドミウムを無くすために、高吸収植物を植えて吸収・除去する研究を進めているとネットで見かけたのですが、吸収されたカドミウムは植物体でどういった形で蓄積しているのでしょうか?

よろしくお願いします。
hisa さん:

カドミウムに関するご質問は、植物による金属イオンなどの吸収を専門とされている東京大学の藤原 徹先生に回答をお願いし、次のようなお答えを頂きました。

*カドミウムは、カルシウムや鉄と同じ経路や吸収遺伝子で吸収されているんでしょうか?
植物ではカドミウムだけを輸送する輸送体(トランスポーター)の遺伝子は知られていません。鉄、カルシウム、亜鉛などのトランスポーターがカドミウムも輸送してしまう例が知られています。カドミウムはこれらの必須元素を運ぶトランスポーターによって吸収されているものと考えられています。

*吸収されたカドミウ ムは植物体でどういった形で蓄積しているのでしょうか?
植物に吸収されたカドミウムは遊離のイオンとしてはほとんど存在せず、植物体内のタンパク質やファイトケラチンと呼ばれるペプチドなどと結合していると考えられています。カドミウムはSH残基と結合する性質があり、多くのタンパク質の活性を阻害してしまうと考えられています。植物をカドミウムにさらすと、ファイトケラチンと呼ばれるシステインを多く含むペプチドが盛んに合成されるようになり、このファイトケラチンのSH残基がカドミウムと結合し、カドミウムの害作用を軽減することが知られています。

藤原 徹(東京大学生物生産工学研究センター)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-01-31
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