一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

植物の防衛反応

質問者:   中学生   アイス
登録番号1509   登録日:2008-01-02
今年の夏休みの自由研究で.植物の食害による防衛反応を調べようと思っているのですが.どういう実験をすればいいでしょうか??
植物は動物や昆虫に食べられると.香りのようなものを出し.これ以上食べられないように防衛するだけでなく.周りの同種の植物にも指令を出し.同じような防衛反応を起こさせると言われています。その香りの正体がなんなのか.またそれが植物の葉のどこから出て.どこから他の葉に伝わっているのか.調べてみたいのですが. 中学生でできる方法があるでしょうか?
教えてください!!
アイス さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
夏休みの自由研究を今から考えはじめているのには感服しました。アイスさんのご質問にあるような現象は本当にあることです。関連したご質問がこのコーナーの登録番号0023にありますし、質問類をまとめた本を日本植物生理学会が最近出版し、その中にも登録番号0023を整理して解説してありますのでご覧になってください(講談社ブルーバックス「これでナットク!植物の謎」という本です)。動物や昆虫に食べられたときに植物が出す「警報物質」「信号物質」の中身は植物種や昆虫の種類などによって違うことが分かっていますが、正確にどのような物質が働いているかを調べることは簡単なことではないのです。単純な物質として揮発性のホルモン様物質(エチレンやジャスモン酸など)やテルペン類が指摘されていますが、これらが食害に対する防衛反応にどの程度関係しているかを簡単に調べる方法は思いつきません。また、害虫Aに食べられた場合と、害虫Bに食べられた場合とで違った内容の「警報物質」を出している例もあります。これは害虫の天敵を呼び寄せる効果があると言われています。これらの警報物質や信号物質が何かを知るためには、その物質を集めて分析しなければなりません。微量の物質をたくさん集めることやその分析には特殊な装置、道具(分析機器)が必要なのです。せっかくの関心に水を差すようで申し訳ありませんが、ご質問のようなことは中学生の自由研究の課題とするのには無理かなと思います。もう少し違った課題を考えた方がよさそうです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2008-01-31